2017年、リオのカーニバルを振り返って。工藤めぐみさん、今年もサウゲイロのパレードに参加

2017年 04月 22日

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公開リハーサルの当日。カーニバルの専用会場サンボードロモがあるサプカイ大通りの路上に、参加者たちが続々と集まってくる。

この日、筆者は、サウゲイロのコミュニダーヂ(コミュニティ)の人々に混じり、パシスタやバイアーナのおばちゃんたちの着替えをせっせと行うという、とても貴重な経験をさせてもらった。

着替えルームやトイレなどは用意されていない。皆、家からしっかり衣装に着替えて直行するか、待機場所の路上で支度をするのだ。

しかも、出番ギリギリになって衣装の一部が届くというあわただしさ。出演者やスタッフだけではなく、家族や知人も手伝いにやってきて、コミュニダーヂ全体が一丸となって動く。

工藤さんは、表舞台の華やかさの裏での、こうした助け合いの精神もまたリオのカーニバルの真の姿なのだと、長年の本場での経験から学んだという。

「サンバダンサーと聞くと、派手で華やかなイメージが浮かぶと思います。でも、こうした裏で支えてくれる人がたくさんいるからこそ、ダンサーは表舞台で踊ることができます。神戸で私がダンサーリーダーを務めている団体のメンバーにも、チームワークの大切さを伝えようと意識しています」(工藤さん)

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公開リハーサルでは各団体が本番通りの編成で行進を行う。しかし、衣装と振りつけは本番とは異なる。行進のテーマと演奏される曲以外の内容は、当日まで一切公開されないのだ。

そして優勝候補の団体も行進を行うエスペシアウ(選抜リーグ)のリハーサルとなると、無料で公開される観客席は超満員だ。

体を揺らして踊り歌うブラジル人の観衆に揉まれながら、やっと一人立てるだけのスペースを確保し、筆者も必死にパレードを追った。

本番さながらの演出に人々は沸き立ち、当日への期待が膨らむ。

後日、無事にパシスタの本番の衣装を手渡されたと、工藤さんから連絡が入った。

名前入りの衣装を受け取ることで、初めてその年の出演が決定するのだ。努力が報われる瞬間だ。

さあ、いよいよカーニバル本番。

(次ページへつづく)

(文・写真/柳田あや)