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【コパアメリカ2019】これぞ最新形フッチボウアルチ。ブラジル、宿敵アルゼンチンを破り決勝進出

7月2日、ベロオリゾンチ市ミネイラォンで行われたコパアメリカ2019ブラジル対アルゼンチン戦(写真/Lucas Figueiredo/CBF)

7月2日(火)21:30(日本時間3日(水)9:30)、ベロオリゾンチ市のミネイラォン競技場で、コパアメリカ2019、ブラジル対アルゼンチンの準決勝戦が行われた。

ミネイラォンといえば、2014年W杯準決勝で、開催国ブラジルがドイツ相手に1-7で敗れ「ミネイラォンの惨劇」として記憶されている場所だ。

そんな会場で、同じく準決勝という舞台で、宿敵アルゼンチンと対戦することとなったブラジル代表がどのような戦いをみせてくれるのか、期待と不安が入り乱れた気持ちでこの日を迎えたサポーターも少なくなかったと思う。

ブラジルの布陣だが、前試合出場停止だった絶対的ボランチ、カゼミーロ(レアルマドリッド)が戻ってきた。また、前試合、体調不良のフィリペ・ルイスに代わり後半最初から投入された左SBアレックス・サンドロ(ユベントス)が、この試合では、そのフィリペ・ルイスに代わり先発出場を果たしている(それ以外は、前試合のパラグアイ戦と同じ先発メンバーだった)。

試合は、開始早々から激しいものだった。

お互い絶対負けられない相手である。それも親善試合ではなく国際大会である。

ブラジルは、右サイドのダニエウ・アウヴェス(パリSG)、ガブリエウ・ジェズース(マンチェスターシティ)が中心となって積極的に攻撃を仕掛けていた。

そして前半19分、ブラジルに待望の先制点が入った。

ダニエウ・アウヴェスがピッチ中央でいくつかの個人技をみせながらドリブルで突破し、右サイド前方のフィルミーノ(リバプール)に渡ったボールは相手DFの股を抜いて、ゴール正面にいたガブリエウ・ジェズースは合わせるだけ­でゴールネットを揺らしたのだ。

ガブリエウ・ジェズースにやっとゴールが決まった。ガブリエウは昨年のロシアW杯では、CFの絶対的なレギュラー、エースストライカーだったが、所属クラブでも出場機会を減らし、代表でも今大会ではフィルミーノにその座を奪われ、控えに甘んじていた。

今大会途中からは、ヒシャーリソン(エバートン)から2列目右のポジションを奪い取り、いい動きをしていたのだが、ゴールだけが決まらなかった。グループリーグ最終節のペルー戦では自ら得たPKを外し自らゴールチャンスを逃していたが、続く準々決勝では、PK戦の最後のキッカーとして勝負を決めるPKを決めて存在感をみせていた。

そんなガブリエウ・ジェズースは、ゴールを決めて喜びを爆発していた。本当にホッとしたことだろう。監督のチチも大喜びだった。

7月2日、ベロオリゾンチ市ミネイラォンで行われたコパアメリカ2019ブラジル対アルゼンチン戦(写真/Lucas Figueiredo/CBF)

その後、アルゼンチンもメッシ(バルセロナ)を中心にいくつかのチャンスをつくっていた。

前線にはアグエロ(マンチェスターシティ)がいて、この二人を中心に攻めるのだが、攻撃はかなり単調に映った。

この日のブラジルの攻撃は、見ていて興奮させられた。

規律に基づいていながらも、要所要所に個人技が散りばめられている。個々の選手たちがチームプレーを忠実に守りながら、存分に個性を発揮しているのだ。

選手たちも、“自分が自分が”ではない。ショートパスなども多用し、お互いを使いながら相手を崩し攻撃を組み立てていた。

守備から入り、全員守備全員攻撃。守備からもつなぐ意識がとても強い。

チチ監督はしっかりと選手たちの心をとらえ、植え付けているのだろう。これぞ、最新形“フッチボウアルチ”といえるのではないだろうか。選手たちは躍動感にあふれ、生き生きとプレーしている。

後半開始から、この日それほど目立つ動きがなかった2列目左のエヴェルトン(グレミオ)に代わりウィリアン(チェルシー)を投入した。

後半もブラジルの新フッチボウアルチは続いた。

そんな中、またもガブリエウ・ジェズースがみせた。

後半26分、ピッチ中央でボールを奪取したガブリエウ・ジェズースが一人で独走。相手DFを二人ほど振り払いPA内まで進入し、最後はフリーのフィルミーノに横パスを出し、フィルミーノのゴールをお膳立てした。フィルミーノは合わせるだけだった。

このゴールは大きかった。2点のリードを得ることができ、ある程度安心して試合を進めることができた。

終盤、ウィリアンが足を痛め、走れない状態になったが、交代枠を使い切っていたため、そのままピッチ上でうろちょろするというアクシデントはあったが、ブラジルは2-0で宿敵アルゼンチンを破り、決勝進出を決めることができた。

7月2日、ベロオリゾンチ市ミネイラォンで行われた対アルゼンチン戦を終えたブラジル代表(写真/Lucas Figueiredo/CBF)

サッカーには流れというものがあるので、それをうまく捉えられるかどうかで結果は大きく左右される。

この試合でも、アルゼンチンは世界最高プレイヤーと称されるメッシを中心に攻めており、ゴールポストに当たるシュートなどもあった。

これが決まっていたら、試合内容は多少なりとも変わっていただろう。

しかし、メッシ、アグエロといった個で勝負していたアルゼンチンに対し、ブラジルはチームで戦った。これが今回のブラジルとアルゼンチンの大きな違いだったと思う。

サッカーの醍醐味はいろいろとあるだろう。

個人技を魅せつける超攻撃的サッカーもいいが、チチのセレソンは、本当におもしろいと思った。

やはり現代サッカーの中心はヨーロッパだ。ぜひ、この状態で、ドイツやスペイン、フランスといったヨーロッパの強豪国と真剣勝負をしてほしいと思った。そうすれば、世界の中でのブラジル代表の真の姿、立ち位置がわかるだろう。

さて、準決勝のもう1試合は、大方の予想に反して、ペルーが2連覇中のチリを破った。ということで、ブラジルの決勝の相手は、ペルーに決まった。

ブラジルとペルーは、既にグループリーグでも戦っており、その時はブラジルが5-0で勝っている。

しかし、油断は禁物だ。サッカーは流れ次第でどうにでもなるのだからわからない。

以前のブラジルなら、なめてかかっていたかもしれない。しかし、今回はチチがそれを許さないだろう。選手たちを引き締め、最高の舞台において最高の状態で戦うべく準備を整えてくるはずだ。

決勝は、7日(日)17:00(日本時間8日(月)5:00)、サッカーの聖地リオのマラカナンスタジアムで行われる。

ぜひとも、新フッチボウアルチをみせ、チチに初タイトルを戴冠し、マラカナンの歓喜を味わいたいものである。

(文/コウトク)

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著者紹介

コウトク  2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。現在、スポーツナビのブログ「ブラジルサッカーレポート」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/kohtoku/)を執筆中。