巨大ポレンタ、今年も準備万端。ポレンタ祭り、10月4日から開催
2019年 09月 30日
移民大国のブラジルには世界各国の移民が持ち込んだ多様な文化が息づいているが、その国の中でもかなり特殊な地方固有の文化が、ブラジルの特定の地方に伝わり育まれているケースが少なくない。
日本の沖縄県からの移民が多かったマットグロッソドスウ州カンポグランジ市では、沖縄そばがローカルフードとして定着。2006年には同市の無形文化財に認定されている。
ドイツのバーデン地方からの移民が多かったサンタカタリーナ州グアルビーバ市では、クリスマス時期には、同地方に伝わるクリスマスの精霊に街の人が扮した祭りが行われることで知られる。
ワインの名産地として知られるイタリアのヴェネト州からの移民が多かったリオグランジドスウ州ベントゴンサウヴェス市を含むセーハガウーシャ地方は、ブラジルにおけるワインの郷として知られる。この地域では、ヴェネト州のワインに使われるブドウ、グレーラ種(かつてはプロセッコ種と呼ばれていた)を使ったワインも作られている。
そして同じくヴェネト州からの移民が多かったエスピリットサント州ヴェンダ・ノーヴァ・ド・イミグランチ市では毎秋、ポレンタにスポットを当てた「フェスタ・ダ・ポレンタ(ポレンタ祭り)」が開催されている。
ポレンタは今では、南部や南東部を中心に広くブラジル中で日常的に食されているが、もともとはヴェネト州を含む北イタリアの郷土料理 。トウモロコシ粉(ブラジルではフバーと呼ばれる)を 使った料理で、お粥のようにして食べるタイプと、太めのスティック状に固めて揚げたスナックタイプがある。
祭りのメインイベントは、会場に設置された大鍋でつくられる1トンを超える巨大なお粥状のポレンタが登場する「トンボ・ダ・ポレンタ」と呼ばれる出しものだ。この祭りに巨大ポレンタが登場したのは2004年からで、ポレンタは会場を訪れた人たちに振舞われる。
また、祭りの期間中は会場内に設営されるイタリアの農村を模したフードコートで同国の郷土料理が提供されるほか、“ポレンタの女王”が選ばれるミス・コンテストや、人気アーティストのコンサートも行われ、毎年、ブラジル中から約6万人がこの祭りに訪れるという。
41回目となる2019年のフェスタ・ダ・ポレンタは、10月4日(金)~6日(日)、10日(木)~13日(日)に同市のパードリ・クレット・カリマン・イベントセンターにて開催される。コンサートにはロックバンドのイラ(11日)や若手人気ポップスシンガーのグスターヴォ・ミオット(12日)などが出演する。
(文/麻生雅人)