アルシンド元選手が来日、少年サッカー指導者らと交流

2019年 10月 17日

10月10日(木)、駐日ブラジル大使館で交流会を行ったアルシンド元選手(撮影/麻生雅人)

90年代に鹿島アントラーズで活躍したアルシンド・サルトーリ元選手が今月上旬に来日して、群馬県大泉町と東京・青山にある駐日ブラジル大使館で、サッカー指導者やファンと交流会を開催した。

アルシンド元選手を招へいしたのは、南米旅行を中心に扱う旅行会社、株式会社アルファインテル。同社は1979年に設立されて以来、40年にわたって日本と南米、とりわけブラジルとの人的交流に貢献してきた。

サッカーに関しても、数え切れないくらいの研修生やアスリートたちの橋渡しをしてきた。佐藤貞茂代表取締役社長は、後に清水エスパルスの設立に大きく貢献した故・堀田哲爾氏をブラジルへアテンドしたときの思い出を語った。

「ブラジルで堀田先生に『どうすれば日本にサッカーを根付かせることができるのでしょう』と尋ねたとき、先生が『とにかくサッカーを好きな人、ファンを増やすしかないでしょう』と答えられたのが印象に残っています。あれから20年以上が経ちますが、わが社がサッカーを愛する人たちの橋渡しに貢献できたのなら嬉しく思います」( 佐藤貞茂代表取締役社長 )

交流会でアルシンド元選手は、日本での思い出として、日本に来て間もないころの失敗談を懐かしそうに語った。

「ジーコ選手(当時)に呼ばれて鹿島アントラーズに来て間もないころ、ある日、私が乾杯の音頭をとることになりました。まだ日本についてほとんど知らなかったので、ブラジルで乾杯ときによく口にする合図の…これはグラスを合わせたときの音のオノマトペなのですが…『Tim Tim(チンチン)』を大きな声で口いしました。皆、驚いてあっけにとられていましたが、いまはもうその理由がわかっています(笑)」(アルシンド元選手)

10月10日(木)、駐日ブラジル大使館で交流会を行ったアルシンド元選手(撮影/麻生雅人)

また、アルシンド元選手がアデランスのCMに出演したとき、CMの中で使われで有名になった「友だちならアタリマエ」というフレーズの誕生秘話も語った。

「鹿島にいたとき、マサ(古川昌明)が移動のバスの中でいつも私からポルトガル語を学んでいました。マサはブラジルにサッカー留学をしていたからある程度ポルトガル語が話せたのです。ある日、対ジュビロ戦で、私がハットトリックを決めてチームが勝った日に、マサが、友だちのために私のサインがほしいと言いました。お安い御用ですから、私はポルトガル語で『Amigo é pra isso(そのために友だちはいるんだよ、といったニュアンスの慣用表現)』と答えました。するとマサが、日本語でいうなら『友だちならアタリマエ』だと教えてくれたのです。私はこのことばが気に入って、次の試合のあとテレビのインタビューでもこの言葉を話したら、テレビを見ていたアデランスの方が、CMに使いたいと言ってきたのです」(アルシンド元選手)

「友だちならアタリマエ」…この言葉はまさに、日伯間の、ひとつの友情から生まれた言葉だったのだ。

アルシンド元選手は、少年サッカーの指導者や、日本で暮らすブラジル人たちと数日にわたり交流を行い、10月16日にブラジルへ帰国した。

(文/麻生雅人)