2019クラブワールドカップ、 38年前の再現ならず。 南米代表のフラメンゴ(ブラジル)は準優勝に終わる

2019年 12月 25日

12月21日(土)、クラブワールドカップ決勝に出場したフラメンゴ(写真/ Alexandre Vidal/Flamengo )

2019年のFIFAクラブワールドカップが12月11日(水)~21日(土)にカタールで行われた。

この大会、以前は日本で開催することも多く、アジア代表や開催国枠でJリーグのチームが出場することも多かった。

しかし、今大会は、浦和レッズが惜しくもAFCチャンピオンズリーグの決勝戦で敗れ、日本のチームは出場しておらず、日本テレビが生中継していたが、日本での注目度はかなり低かったようだ。

試合が行われた12月21日(土)、ブラジリアのアウヴォラーダ宮でボウソナーロ大統領はフラメンゴのユニフォーム姿で観光客に対応した(写真/Wilson Dias /Agencia Brasil )

南米代表では、リベルタドーレス杯決勝戦での劇的な勝利でブラジルのフラメンゴが出場した。

今季のフラメンゴは、リオデジャネイロ州選手権、ブラジル全国選手権(ブラジレイラォン)、そしてリベルタドーレス杯の3冠を達成しており、戦力は相当に充実している。

ブラジル一の人気チームであるだけでなく、2012年のコリンチャンスが制して以来、クラブワールドカップの優勝から南米勢が遠ざかっていることもあり、ブラジルではかなり活躍が期待されていたようだ。

ヨーロッパと南米の代表は、準決勝からの出場となる。

フラメンゴの初戦は、アジア代表のアルヒラル(サウジアラビア)との対戦となった。

12月17日(火)、フラメンゴ対アルヒラル(写真/Aleanddre Vidal/Flamengo)

この試合、フラメンゴは前半はまったくいいところがなく、0-1でリードされたままハーフタイムを迎えたが、後半開始早々にゴールを決めることができ、その後も加点し、結果的に3-1で決勝戦に駒を進めることができた。

期待のガビゴウことガブリエウ・バルボーザは積極的にシュートを打っていたがゴールを決めることはできず、もう一人のFWブルーノ・エンヒッキが全ゴールに絡む大活躍で、かなりのインパクトを与えていた。

ヨーロッパ代表が常に決勝に進んでいるのとは対照的に、南米代表は決勝に進めないケースもけっこうあるので、まずは決勝進出を決められてほっと一息といったところだった。

そして、決勝戦の対戦相手は、予想通りヨーロッパ代表のリヴァプール(イングランド)となった。奇しくも、1981年大会(前身のトヨタカップ)と同じ対戦となった。

12月20日(金)、決勝にそなえトレーニングを行うリヴァプール(写真提供/Liverpool FC)

このときは、ジーコの活躍でフラメンゴが3-0で勝利し、フラメンゴがクラブ世界一になっている。

クラブワールドカップへのフラメンゴの出場は、そのとき以来の実に38年ぶりとなる。ファンとしては、81年大会の再現を期待したくなる。

一方のリヴァプールは、イングランドの超名門チームだが、2005年大会(クラブワールドカップの第1回大会)に出場しているが、決勝でサンパウロ(ブラジル)に敗れ、いまだ世界一の称号は与えられていない。是が非でもほしいタイトルだろう。

ブラジル目線で見ると、リヴァプールの主力として、GKにアリソン、絶対的ストライカーとしてフィルミーノといったブラジル代表選手が出場することも大きな見どころとなっている。

そんなフラメンゴとリヴァプールによる決勝戦だが、開始早々からリヴァプールが圧倒的なスピードで一方的に攻め立てた。

12月21日(土)、フラメンゴ対リヴァプール(写真/ Alexandre Vidal/Flamengo )

しかしリヴァプールは何度もあった決定的なチャンスをことごとく外し、防戦一方だったフラメンゴにとっては命拾いとなった。

そうこうしているうちに、フラメンゴがリヴァプールの攻撃に対応できるようになってきた。

サッカーには流れというものが必ずあるものだ。フラメンゴが独特のリズムで試合のペースをつかむようになってきた。

それからは前半が終わるまで完全にフラメンゴのペースになったが、ゴールを決めきることができず、前半を 0⁻0 で終えた。

後半になると、リヴァプールはちゃんと修正してきた。

後半開始からは再びリヴァプールがペースを握ったのだが、前半開始早々と同様、何度かあった決定機を外しているうちに、ほぼ互角の試合となった。

後半終了時間が近づき、フラメンゴのGKアウヴェスが足をつり心配させられたが、最後まで好プレーを見せていた。

しかし、フラメンゴは最大のピンチを招く。

終了間際の後半44分にDFハフィーニャがPA内で相手選手を倒しリヴァプールにPKの判定が下された。

万事休すと思われたが、VARで確認した結果、PKは取り消され、フラメンゴは命拾いをした。

そのまま、0⁻0のまま延長戦に突入したが、今度は、ガビゴウが足をつり担架でピッチ外に出された。ダメかと思われたが、無事に戻ってきてホッとした。フラメンギスタ(フラメンゴサポーター)はガビゴウのゴールを期待していたはずだ。

しかし、そんなフラメンギスタの思いもむなしく、延長前半9分、ついにこの試合初めてのゴールが決まってしまう。

リヴァプールはフラメンゴの守備をきれいに崩した。ゴールを決めたのはブラジル人ストライカーのフィルミーノだった。

ブラジル人サポーターにとっては複雑だっただろう。

延長戦は前後半合わせて30分間あるので、時間はまだ十分にあるはずなのだが、その後のフラメンゴはなかなか効果的な攻撃ができない。

奇跡は起こらず、そのまま1-0でリヴァプールが勝ち、念願の初タイトルを得ることに成功したのだ。

12月21日(土)、リオデジャネイロ。ゾナスウの野外スクリーンで観戦していたフラメンギスタ(写真/ Tania Rego/Agencia Brasil)

リベルタドーレス杯決勝で大活躍し、最も期待されたガビゴウは不発に終わった。インテル(イタリア)が所有権を持ったまま、レンタルを繰り返されている身なので、是が非でも活躍して、世界中にアピールしたかったはずだ。本人は相当に無念なことだろう。来季、どのチームでプレーするかも注目の的だ。

また、この大会を通して、フラメンゴで最も株を上げたのは、間違いなくブルーノ・エンヒッキだろう。

準決勝では、1ゴールを含む全得点に絡む活躍。そして、決勝でも、前線で相当に攻撃のアクセントになっており、一人気を吐いていたように感じられた。サイドアタックを中心に、とても目立っていた、

優秀選手賞(2位)を受賞したブルーノ・エンヒッキ(右)(写真/ Alexandre Vidal/Flamengo)

ブルーノ・エンヒッキは、現在28歳で、今年初めてブラジル代表に選出されている。若手がどんどん台頭しているブラジル代表の中では、かなりの遅咲きだろう。

2016~2017シーズンには長谷部誠がかつて所属していたウォルスブルク(ドイツ)でプレーし、2017年1月にサントスへ移籍。そして今年2019年1月からフラメンゴに移籍し、今季はリーグ戦で21ゴールを挙げ、チームの優勝に貢献している。

これからの活躍を見守っていきたい。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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