UEFAチャンピオンズリーグ決勝。ブラジル人選手の対決は?

2020年 08月 25日

トレーニング中のネイマール(パリ・サンジェルマン)(写真/ C.Gavelle/PSG)

2020年のスポーツ界は、世界的に新型コロナウイルスの影響を受けている。その最大のものは東京オリンピックパラリンピックだが、サッカー界もその例に漏れず、予定されていたスケジュール通り行われてはいない。

世界最高峰のヨーロッパにおいても、ヨーロッパ5大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)では、いずれもリーグ戦が3月に中断されていた。

フランスリーグアンはそのまま再開せずリーグ戦は打ち切られ、他のリーグでは5月、6月に無観客で再開されている。

ヨーロッパのクラブNo.1を決めるUEFAチャンピオンズリーグも同様に、決勝トーナメント1回戦の最中である3月上旬で中断されていた。

8月上旬に再開され、通常ホーム&アウェイで行われる準々決勝、準決勝も一発勝負にレギュレーションが変更され、場所をポルトガルのリスボンにある2つのスタジアムでの集中開催とし、2週間で一気に決勝戦まで行うこととなった。

準々決勝まで進めた8チームは以下の通り。

マンチェスター・シティ(イングランド)

バルセロナ(スペイン)

アトレティコ・マドリッド(スペイン)

バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)

ライプツィヒ(ドイツ)

アタランタ(イタリア)

パリ・サンジェルマン(フランス)

オリンピック・リヨン(フランス)

必ずしも有力チームが勝ち進んでいたわけではない。かなりの番狂わせが起こっていたといってもいいだろう。

準々決勝では、バイエルン・ミュンヘンが、世界最高峰の選手として名高いメッシ(アルゼンチン)を擁するバルセロナを8-2という驚異的なスコアで倒すというショッキングなゲームもあった。

結果的に決勝にコマを進めたのは、パリ・サンジェルマンとバイエルン・ミュンヘンの2チームである。ある程度の有力チーム同士の対決となった。

そんな2019-20シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦は、8月23日(日)21:00(日本時間24日(月)4:00)から、リスボンのエスタジオ・ダ・ルースで行われた。

さて、今大会でのブラジル人選手の活躍やいかに…。

写真は8月18日、欧州チャンピオンズリーグ俊決勝でRBライプチヒを破り決勝進出を喜ぶネイマール(右)(写真/J.Scussel/PSG)

パリ・サンジェルマンには、ブラジルサッカー界のスター、ネイマールをはじめ、代表の常連であるチアゴ・シウヴァ、マルキーニョスの3人がいずれも先発出場していた。

一方のバイエルン・ミュンヘンは、バルセロナからレンタルされているコウチーニョ唯一人でベンチスタートだった。

まず試合開始早々に感じたことは、とにかく速いということ。最近は、Jリーグに見慣れている眼には、まるで倍速で見ているように感じた。特にバイエルンのプレッシャーの速さには目を見張るものがあった。

前半は、パリ・サンジェルマンのほうが決定的なチャンスが多かったように感じた。

前半を終え、0-0。

ボール運びが速いせいか、試合の過ぎ去るのも早く感じた。緊迫感のある好ゲームだった。

試合が動いたのは後半14分。バイエルンにゴールが決まった。

そして、後半23分にコウチーニョがピッチに入り、所属する全ブラジル人4選手の競演が始まった。

途中出場とはいえ、コウチーニョは存在感を出していた。

個人的には、ネイマールもいるしブラジル人選手が中核を成しているパリ・サンジェルマンを応援しながら見ていたが、バイエルンのプレッシャーはかなり強く、2~3人で必ずボールを奪いに来て、パリ・サンジェルマンはなかなかボールをキープすることができない。

そのまま1-0で、バイエルン・ミュンヘンが勝ち、優勝が決まった。

試合終了後、ネイマールは涙を流しており、表彰セレモニーにもなかなか出て来れないでいた。

パリ・サンジェルマンのもう一人の若きエース、ムバッペ(フランス)は対照的に、清々しく、早々にピッチで表彰セレモニーを待っていた。

ネイマールにとって、この大会、そしてパリ・サンジェルマンというチームはどういったものだったのだろうか?

ネイマールは、2017年8月にバルセロナからパリ・サンジェルマンに移籍した。

パリ・サンジェルマンに所属して、ちょうど3年になる。リーグ戦(フランスリーグアン)は当然の如く3連覇を飾っている。

しかし、チャンピオンズリーグでは、過去2シーズン共にグループステージは突破していたが、2年連続16強で涙を飲んでいる。

そして今シーズン。

比較的くじ運も悪くなく、決勝まで進むことができた。

準々決勝(対アタランタ)、準決勝(対ライプツィヒ)のネイマールは輝いていた。ピッチ上を縦横無尽に駆けめぐり、さすがはネイマールと唸るシーンがいくつも見られた。

しかし、決勝でのネイマールはどうだっただろうか?

相手が名門、バイエルン・ミュンヘンということもあり、いつものような輝きは放てなかった。

自分がチームのエースである以上、何としても優勝したかっただろう。

オフシーズンには毎年移籍の話題が絶えないが、来季もパリ・サンジェルマンでプレーするのだろうか? 去就に注目したい。

さて、ほかのブラジル人選手についても言及しておこう。

まずは、キャプテンのチアゴ・シウヴァ。最終ラインからチームを統率し、ゲームを引き締めていた。

ブラジル代表では長年キャプテンも務め、現在35歳。大ベテランの域に入るが、まだまだ十分に精度の高いプレーができることを証明していた。

今季で退団が濃厚視されている。来季はどこでプレーするのだろうか?

そして、ボランチとして大活躍したマルキーニョス。

攻守の要として相当に効いていた。まるでカゼミーロ(レアルマドリッド)を見ているようだった。現役バリバリのブラジル代表。代表ではセンターバックとしてプレーしているが、ゴールへの嗅覚もあるし、ボランチの方が適任かもしれない。

この試合、チームの中で最もよい働きをしていたと思う。まだ26歳であり、これからの活躍もとても楽しみな選手である。

さて、チャンピオンズリーグの覇者が決まり、ヨーロッパ代表は決まった。

各大陸の王者を決める大会も、新型コロナウイルスの影響で中断している。南米王者を決めるリベルタドーレス杯は9月から、アジア王者を決めるアジアチャンピオンズリーグは10月から再開される。

そして、クラブ世界一を決めるクラブワールドカップは今年12月にカタールで行われる予定となっている。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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