北東部で絶大な人気を誇るカシャッサ「ピトゥ」の新マーケティング戦略
2021年 12月 28日
日本の約23倍の国土を持つブラジルでは、地酒ともいえるクラフトカシャッサだけでなく、大衆的な工業製品にも、地方で絶大な人気を誇る“ご当地カシャッサ”がある。
地元紙「ヂアリオ・ヂ・ペルナンブッコ」が、同紙の人気ブランド調査で6年連続チャンピオンに輝いている地元の人気ブランドを紹介している。
83年の歴史を持つカシャッサ「PITÚ ピトゥ」は、北東部ではダントツで一番人気。この地方で知らない人はいない存在だ。本拠地葉ペルナンブッコ州ヴィトーリア・ヂ・サント・アンタォン市。
従業員600名のピトゥは、製造プロセス全体を監視する厳格な品質管理システムを導入して、多様な飲料のポートフォリオを持ってる。
全国区でもその名は知られており、国内のカシャッサ消費量でも2位に位置している。さらに、ピトゥは現在50か国以上に輸出され、国際市場での知名度も高い。
「The Spirits Business」誌が、世界中のスピリッツのトップクラスに位置する150ブランドをリストアップする「ブランドチャンピオン」リストの2021年版(2020年の販売実績)にもランクインしている。
同リストの世界各国のローカル・スピリッツ部門で、ピトゥは3位にランクインしている。記録によると売り上げは2019年比で10,7%増の1億600万リットルだったとう。ちなみに、同リストにはブラジルのカシャッサがもう1ブランドランクインしている(5位のイピオカ)。
製造元であるペルナンブコ州で最大級の企業であるピトゥの広報ディレクター、アレシャンドリ・フェヘール氏は以下のように述べた。
「ブラジルおよび海外におけるPitúのマーケティング活動の結果、広くブランドを認知して親しんでいただけていると思っています。国内外の市場に提供しています製品の品質はもちろんのこと、お気に入りブランドの賞を受賞できたもとも、とても誇りに思っています」
(アレシャンドリ・フェヘール氏)
今年、同社はマーケティングを強化し、消費者にさらに親近感を持ってもらうため、ネット通販のシステムを拡大したほか、ブランドのシャツやキャップなどグッズの販売を開始した。本拠ヴィトーリア・ヂ・サント・アンタォン市には、“ピトゥゼイロス”と呼ばれるピトゥのサポーターたちが楽しめるビジターセンターも作られている。
加えてアレシャンドリ・フェヘール氏は、こうした取り組みだけでなく、企業の姿勢も、消費者に企業を親しく感じてもらうには重要だと語る。
現在同社が企業運営にあたり掲げている5つの柱は、水質管理、リサイクル、環境への配慮と研究、文化的および歴史的価値観の保存だという。リサイクルに関しては、ブラジル政府による国家固形廃棄物管理政策法に基づき、販売されたボトルの94%を再利用することに成功しているという。
「私たちは、人と自然の尊重を大前提としています」(アレシャンドリ・フェヘール氏)
2022年のブランドの計画には、カシャッサの保管と積載能力を高めて顧客サービスの速度を向上させるために、ヴィトーリア・ヂ・サント・アンタォン市の工場に新しい倉庫を設立することが計画されているという。
(文/カシャッサ麻生)