ブラジル先住民メイナク族の椅子、一般販売はじまる

2022年 01月 19日

アリクイをモチーフにしたメイナク族の作品。ブラジルマットグロッソ州シングー国立公園内の大木から造られた彫刻作品(画像提供/ART Is.株式会社)

2018年に東京都庭園美術館で開催された「ブラジル先住民の椅子 野生動物と創造力」展で、日本ではじめて本格的に紹介されて注目を集めたブラジル先住民の椅子を、東京・代官山にあるアートギャラリーが一般販売をはじめた。

バクをモチーフにしたメイナク族の作品(画像左下)。ブラジルマットグロッソ州シングー国立公園内の大木から造られた彫刻作品(画像提供/ART Is.株式会社)

ブラジル北部から中部にかけてのアマゾン川やシングー川の流域で暮らす先住民の人びとがつくり続けている椅子は、動物たちを模したフォルムや、部族に伝わる紋様や彩色が、独特の魅力を作り上げている。

その多くは、切り倒した丸太を削りだし、「一木造り」で作られている。

これらの椅子は先住民にとって、日常生活の中で使用される椅子としてのみならず、シャーマンによる儀式や結婚式等の特別な機会に用いられるものもあり、先住民の生活や伝統、独自の神話などと色濃く結びついているもので、コミュニティの文化的・社会的なシンボルでもあったという。

エイをモチーフにしたメイナク族の作品(画像提供/ ART Is.株式会社

椅子に描かれる幾何学的な紋様も彼らの生活と結びついており、婚姻の状態を表わす模様、儀式のための模様など、用途によっても、部族によっても異なる。

今日では、先住民たちがコミュニティ外との交流を経て、自身のアイデンティティを再認識した上で、用途や伝統に縛られない多様な表現が生まれてきている。

今回、日本で販売がスタートしたのは、上記展覧会でも注目を集めた、シングー先住民公園内の居住区で暮らすメイナク族の作家たちの手による作品だ。

ジャガーをモチーフにしたメイナク族の作品。ブラジルマットグロッソ州シングー国立公園内の大木から造られた彫刻作品(画像提供/ART Is.株式会社)

輸入販売を手掛けるのは、「NO BORDER」をテーマに卓越した存在感を放つ絵画・アート作品販売を行なうART Is.株式会社 。

ふくしまアヤ氏は「椅子は先住民族の貴重な資源を活用した作品であることから、輸入にあたってメイナク民族とBEĨ出版社を交えたオンラインミーティングを3者が納得いくまで行った上で、公平な取引を実現させました。なお、ART Is.株式会社は、アーティストとは常に対等でリスペクトのある関係性を大切にしており、その上でメイナク民族をサポートすることを心がけています」と語る。

2018年の「ブラジル先住民の椅子 野生動物と創造力」展で椅子とに出会い衝撃を受けたART Is.のふくしまアヤ代表が、同展覧会を監修したブラジルのBEI出版社を通じメイナク(MEHINAKU)族と直接対話を重ね、世界ではじめてメイナク族の椅子の正規販売代理店となった。

椅子は、2022年1月に東京・代官山にオープンした展示ギャラリーと、2月22日にオープンが予定されているECサイトで販売される。

ART Is. TOKYO GALLERY
住所/東京都渋谷区代官山町3-13 #103
TEL/03-3496-1739
営業日/月~火、木~日(水曜のみ定休)
営業時間/12:00〜19:00
※その他の営業日についてはInstagramで告知
Instagram https://www.instagram.com/art.is.art.is/?hl=ja 
HP www.art-is.net/

(文/麻生雅人)