ブラジルの先住民カヤポ族のリーダー、ハオニ氏が入院

2020年 07月 20日

写真は2015年、ブラジリアでスピーチを行うハオニ氏 (写真/Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

ブラジルの先住民族カヤポ族のリーダーで、先住民の人権やアマゾンの環境保護などの活動家としても世界中で知られているハオニ(ラオニ)・メトゥクティル氏が7月16日(木)に入院したと、現地メディア「オ・グローボ」が伝えている。

ハオニ氏は1989年に英国出身のシンガーソングライターで熱帯雨林の保護活動家としても知られるスティングのワールドツアーに同行して、日本にも来日している。

マットグロッソ州のシングー先住民国立公園の保護区で生活しているハオニ氏は、1か月前に妻に先立たれた後、うつ状態になっていたというハオニ氏は、消化管出血と脱水症状を起こしたという。

同じく現地メディアの「G1」によると、ハオニ氏は部族に伝わる伝統的な治療法を試みたが回復がみられなかったことから入院したとのこと。新型新コロナウイルスの感染はみられないという。

当初、同氏は同州州都のクイアバ市から648km離れたところにあるコリダー病院に入院後、18日(土)に、同州シノッピ市の病院に移送され集中治療室に入院したという。

19日(日)には輸血が行われ、同日の時点では安定した状態にあるという。

先住民の人権保護を訴え続けているハオニ氏は、先月6月5日には、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、「大統領は先住民のことを全く考慮しない。彼は、われわれ(先住民)を絶滅させようと、この機会を利用している」と、ジャイール・ボウソナーロ大統領を批判する声明を発表したと「オ・グローボ」が伝えている。

7月19日(日)にブラジル保健省が発表した新型コロナウイルスに関するデータによると、アマゾナス州の累計の感染者は9万人を超えて90,913人となった。感染症による死亡者は3,149人、人口10万人当たりの発生率は2193.5、人口10万人当たりの死亡率は76.0となっている。同州の死亡率は。北東部のセアラー州(78.6)に次いで全国で2番目に多い。

同20時に「オ・グローボ」、「G1」、「エシトラ」、「フォーリャ・ヂ・サンパウロ」、「UOL」、「エスタード・ヂ・サンパウロ」 によるメディア連合が各紙で発表した、新型コロナウイルス感染症に関する全国のデータは以下。

累計感染者    2.099.896人 (7月18日: 2.048.697人)
新規の感染者    24.650人 (7月18日: 26.549人)

累計死亡者    79,533人 (7月18日:  78,817人)
新規の死亡者     716人 (7月18日:    885人)

(文/麻生雅人)