4月26日、JICA 横浜 海外移住資料館がリニューアルオープン

2022年 04月 25日

トリックアートを取り入れた、ありあんさ入植地の展示(撮影/麻生雅人)

独立行政法人国際協力機構(JICA)が運営するJICA 横浜 海外移住資料館が、2022年4月26日(火)にリニューアルオープンする。

26日(火)のリニューアルオープンに先駆け、25日(月)、オープニングセレモニーが執り行われ、横浜市会の高橋正治副議長、米州友好横浜市会議員連盟の横山正人会長、横浜市国際局の橋本徹局長、海外移住資料館の飯野正子学術委員長が挨拶を行った。

同資料館が開館したのは2002年。開館から20年を経て移住研究が進んで新たにわかったことも増えていることから展示内容の再編が行われ、同館が蒐集してきた収蔵品の中から、貴重な資料が追加展示された。1946年から1952年まで横浜で荷揚げされた救援物資(通称:ララ物資)も展示に加わった。

食品加工業を紹介するコーナー、ブラジルのSAKURA醤油(撮影/麻生雅人)

中南米の日系人の戦中体験を紹介するコーナーでは、財産没収や強制収容(キューバ)、銀行資産の凍結や強制立ち退き(メキシコ)など、連合国に加わっていた中南米諸国で“敵性外国人”として扱われることとなった日系移民の歴史を紹介している。ブラジルでは日本人学校の資産凍結や、サンパウロ州の一部地域での強制立ち退きが行われたことが紹介されている。

この分野の研究はまだ明らかになっていないことが多いが、展示は現時点で判明している最新の研究成果に基づいているとのこと。

移住者のかばんにはどのようなん物が詰められていたかを紹介する展示コーナーより(撮影/麻生雅人)

19世紀末~20世紀初頭、海外への出稼ぎ者や移住者が利用した、横浜・神戸・長崎などの港にあった「外航旅館(移民宿)」は、故郷から出てきた移住者が出航までの数日を過ごす宿というだけでなく、渡航準備や手続きの代行、必要品の購入なども行っていたという。

海外移住資料館では、外航旅館(移民宿)コーナーをより充実させるため、横浜にゆかりのある外航旅館(移民宿)に関する情報、写真、関連品(看板、衣装、装飾品など)の提供を呼び掛けている。

点字ブロック(館内・外)や触察案内図・点字台・触れる展示などの設置など、幅広い人が展示を理解しやすいよう、展示方法も見直されている。現在、日本語と英語が主となっている音声ガイドも、今後、ポルトガル語やスペイン語のガイドを追加していく予定とのこと。

大岩オスカールによる移民船を描いたデジタルドローイング作品のひとつ。笠戸丸(撮影/麻生雅人)

館内の5本の柱には、日系ブラジル人アーティスト、大岩オスカールによる、数多くの移民を運んだ7艘の移民船を描いた作品が展示されている。

子どものための解説コーナーや、校外学習で利用できる体験学習コーナーも新設された。

体験学習コーナーでは「移民かるた」で遊びながら学ぶこともできる(撮影/麻生雅人)

JICA 横浜 海外移住資料館
URL:https://www.jica.go.jp/jomm/index.html
住所:神奈川県横浜市中区新港 2-3-1
開館時間: 10:00~18:00(入館は 17:30 まで)
休館日: 毎週月曜日(但し祝祭日と重なる場合は翌日)
年末年始(12 月 29 日~1 月 3 日)
入館料: 無料

(文/麻生雅人)