ベベウ・ジルベルトが亡き父ジョアンに捧げた作品携え9月に来日

2023年 07月 26日

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(画像提供/コットンクラブ)

“ボサノヴァの法王”ジョアン・ジルベルトを父に、ブラジルのMPB界を代表する歌手のひとりミウシャを母に持つベベウ・ジルベルト。1966年、当時両親が拠点としていたニューヨーク生まれ。

9歳で母ミウシャとスタン・ゲッツが出演したカーネギーホールの舞台でデビュー。72年に母ミウシャと共にブラジルへ。80年以降はミウシャの録音にも数多く参加している。

80年には父ジョアンのコンサートにも参加している。その模様はライヴアルバム「João Gilberto Prado Pereira De Oliveira」(1980)に記録されている。

1984年に、リオのサンバの発展に貢献したシンガー・ソングライターのひとりジェラウド・ペレイラ作品集の歌手を、エンターテインメント歌手ペドリーニョ・ホドリゲスとのデュエットで務めた後、歌手、シンガー・ソングライター、ヴォイス・パフォーマーとして活動を本格化させていった。

1986年には、親友でもあり、国民的人気を博していたロック系シンガー・ソングライター、カズーザと組んで、初のリーダー作となったミニ・アルバム「ベベウ・ジルベルト」を発表した。

1991年にニューヨークに移住。デイヴィッド・バーン、テイ・トウワなどの作品に参加して注目を集めた。テイ・トウワの「Future Listening!」(1994)で作詞とヴォーカルを担当した「Technova (La Em Copacabana)」は、後に「タント・テンポ」で見せたエレクトロニック・サウンドとボサノヴァを融合させた表現のプロトタイプともいえる。

2000年、ベルギーのクラムド・ディスクからプロデューサー、SUBAと組んだ、約14年ぶりのリーダー作「タント・テンポ」では、“ボッサ・エレトロニカ”を打ち出し、この作品はヨーロッパをはじめ世界各国でヒットした。

以降、マイペースながらコンスタントに作品を発表しながら、シンガー・ソングライターとして活動を続けている。

彼女の作品はこれまで、グラミー賞にて4度ノミネートされている(ノミネート作品は以下)。

2004年作「ベベウ・ジルベルト」は第47回グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・ワールドミュージック・アルバムにノミネート。

2007年作「モメント」は、第50回グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・ワールドミュージック・アルバムにノミネート。

2009年作「オール・イン・ワン」は、第53回グラミー賞でコンテンポラリー・ワールドミュージック・アルバムにノミネート。

2020年作「アゴーラ」は、第63回グラミー賞で最優秀グローバル・ミュージック・アルバムにノミネート。

シンガー・ソングライターとして自作曲を中心に歌ってきたこともあり、父ジョアン・ジルベルトのレパートリーを録音することのなかったベベウは、2023年8月に、父に捧げたアルバム「ジョアン」を発表する。

ブラジルの現地メディア「G1」によると、ベベウは同作品に関し以下のコメントを発表しているとのこと。

「『ジョアン』は、私の父に向けたラブレターです。最初のアルバム以来、私は父のレパートリーの曲を録音したことはありません。今、その時が来たのです。私が生まれたときから、いえ、生まれる前から、私に影響を与えてきたジョアン・ジルベルトの曲を、みなさんに紹介する時が」

アルバムでアレンジとヴィオラォンの演奏を手掛けたのは、1991年以降アメリカ合衆国を拠点に活動する、リオデジャネイロ出身の弦楽器奏者ギリェルミ・モンテイロ。近年は合衆国とブラジルを股にかけて活躍している。

2020年にベベウが12年ぶりの来日公演を行った際、演奏で同行していたのもギリェルミだ。

このコンサートでは、両親がレパートリーにしていたボサノヴァやMPBも披露していた。2019年にジョアンが、2018年にミウシャがこの世を去ったばかりだったこともあり、両親と自身の音楽について改めて思うことがあったのかもしれない。そしてこの頃のツアーでのギリェルミとのコラボレーションが、アルバム「ジョアン」へと発展したのかもしれない。

ベベウ・ジルベルトはギリェルミ・モンテイロと共に、9月25日に日本でのコンサートも予定している(会場はコットンクラブ東京)。ドラムス&パーカッションで、パライーバ州ジョアン・ペソア出身のデニス・ブリョンイスが同行する。

【COTTON CLUB】
2023 9.25 mon.
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm
[2nd.show] open 7:30pm / start 8:30pm
■ミュージック・チャージ:
[全席指定] ¥8,800
【Web先⾏受付】8/1(⽕) 12:00pm〜
【電話受付】8/3(⽊) 12:00pm〜
【予約・お問合せ】TEL 03-3215-1555 (12:00pm – 7:00pm)
【詳細ページ】http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/bebel-gilberto/

(文/麻生雅人)