コパ・リベルタドーレス2023決勝で、フルミネンセンセがホームのマラカナンにボカ・ジュニオールズを迎え入れる
2023年 11月 4日
南米クラブ王者を決める大会、コパ・リベルタドーレス。今シーズンの決勝戦が11月4日(土)、ブラジル リオデジャネイロのマラカナンスタジアムで17:00(日本時間5日(日)AM5:00)から行われる。対戦カードは、フルミネンセとボカ・ジュニオールズというブラジルとアルゼンチンを代表するクラブ同士となった。
近年この大会はブラジル勢の活躍が目立ち、過去3年間(2020、21、22年)決勝の対戦カードはブラジル勢対決だった。そして過去4年間はブラジル勢が優勝している。フラメンゴ(2019年、2022年)とパウメイラス(2020年、2021年)が2回ずつ優勝しており、この2チームの強さが目立っている。
今大会でもブラジル勢は好調だった。前回王者のフラメンゴこそ決勝トーナメント1回戦で姿を消したが、準決勝まで進んだ4チーム中ブラジル勢が3チーム(フルミネンセ、パウメイラス、インテルナシオナウ)を占めた。
ブラジルの名門チームといえば、フラメンゴやパウメイラスを筆頭に、サントス、コリンチャンス、サンパウロなどクラブワールドカップに出場しているチームが思い浮かばれるだろう。パウメイラス、コリンチャンス、サンパウロ、サントスは、サンパウロ州をホームにするチームでサンパウロのビッグ4と呼ばれている。
フラメンゴはリオデジャネイロ(以下リオと表記)のチームだが、リオにもビッグ4と呼ばれる4チームが名門クラブとして認識されている。リオのビッグ4とはフラメンゴを筆頭に、フルミネンセ、ヴァスコダガマ、ボタフォゴがそれに当たる。
特に、フラメンゴとフルミネンセは同じマラカナンをホームとしており最大のライバル関係にある。人気実力ともにフラメンゴが一歩も二歩もリードしているが、フルミネンセも富裕層を中心に根強い人気がある。
しかしこのフルミネンセ、ブラジル選手権(カンピオナート・ブラジレイロ・セリエA)やコパ・ド・ブラジルでの優勝はあるものの、コパ・リベルタドーレスでは2008年の準優勝が最高成績で、南米王者には輝いたことがない。
常にフラメンゴの陰に隠れている印象が強かったが、悲願のタイトルを獲る絶好の機会を迎えている。しかも、今シーズンのフルミネンセはおもしろい。
往年の名選手たちが多く在籍しているのだ。
長年レアル・マドリードで活躍したマルセロ、2010年のワールドカップのメンバーに選ばれ近年はパウメイラスでプレーしていたフェリペ・メロ、そして何といっても一番注目したいのはガンソだ。
ガンソ(本名はパウロ・エンヒッキ・シャーガス・ジ・リマ)といえば、ネイマールとともにサントス時代には大活躍し、次世代のセレソンの中心になると思われた選手だった。
サントスではペレの時代以来48年ぶりにコパ・リベルタドーレスを制覇。ネイマールとも仲良しで当時は常にネイマールとともに話題に上っていた。
セレソンに選ばれた時期も同じ2010年で、セレソンのデビュー戦でいきなり10番をつけてプレー(ネイマールは11番)。しかしその後、世界的スターとなったネイマールとは対照的に、ヨーロッパに移籍するも活躍できず、思ったようなインパクトを残すことができなかった。
2012年を最後にセレソンに選出されることもなく、ヨーロッパのクラブから帰国した2019年からはフルミネンセに移籍し10番を付けてプレーを続けている。
世界的にみれば、完全に過去の人感のあるそんなガンソだが、まだ34歳。フェリペ・メロ(40歳)、マルセロ(35歳)、そして今季絶好調のアルゼンチン人ストライカー、ヘルマン・カノ(35歳)より若い。
そしてもうひとつ、フルミネンセには注目すべき点がある。
なんと指揮官であるジニス監督は、セレソンの監督も兼任しているのだ。これには、レアル・マドリードのアンチェロッティ監督がシーズン終了後(2024年6月)に就任するための暫定監督ということで選ばれているという理由があるのだが、それにしても代表の監督をクラブチームの現役監督が兼任するというのはあまり聞いたことがない。
フルミネンセの勢いとは対照的に、セレソンでの戦績は振るわないのだが、ここでビッグタイトルを獲得し、セレソンでも勢いをつけてほしいところである。
そんな注目の試合だが、日本ではテレビの生中継、ネット配信はされないようだ。昨年までは、日本テレビや日テレジータス(CS放送)で生中継されていたので、とても残念だ。
ぜひガンソの活躍で、フルミネンセがホームのマラカナンで悲願の初制覇を果たすことを期待したい。
(文/コウトク)