ミナスジェライス州の自治体が新たに地理的表示2件を申請
2025年 07月 9日
ブラジルのミナスジェライス州のオウロプレット市は、18世紀に金やダイヤの発掘で栄えた古都としてユネスコの世界遺産に登録されている。
ミナスジェライス州は“あらゆる鉱物”を意味するその名が示す通り、現在も鉄鉱石やレアアースの国内有数の産地として知られているが、同時に酪農や農業も盛んで、チーズ、カシャッサ(サトウキビ由来の蒸留酒)など名産品も数多い。
オウロプレット市政府によると、同市は州内の“インコンフィエンチス地域”(ポルトガルからの独立運動に深くかかわった都市のある地域)の中でも、鉱業への依存度が最も低く、新たな経済基盤の構築において傑出しているという。
6月25日~26日に州都ベロオリゾンチ市で開催された第4回ミナスジェライス州経済多様化地域フォーラム(FRDE)において、オウロプレット市は、市内のカショエイラ・ド・カンポ地域産の果実「ジャブチカーバ」とその派生製品に関する地理的表示(GI)の評価書に署名したことを、7月3日、同市政府が広報した。
また同じく“インコンフィエンチス地域”にあるマリアーナ市は、唐辛子の一種「ビキーニョ」に関する地理的表示(GI)の評価書に署名した。
地理的表示の認定プロセスの担当団体であるイノヴェーション及びサステナブル技術研究所(INOVATES)のアンセウモ・ブッス所長によると、両市の登録はこの後、国立産業財産権院(INPI)での正式登録の過程に移行し、2025年9月までに登録が完了する見通しだという。
フトモモ科に属するジャブチカーバは、ブドウとブルーベリーを掛け合わせたような外見とさわやかな甘みと柑橘のような芳香を持つ、紫色の果実。ミナスジェライス州は名産地として知られ、2018年には、“インコンフィエンチス地域”に属するサバラー市が「ジャブチカーバ由来の製品:リキュール、ジャム、ソース、砂糖漬けの皮、瓶詰め果実」で地理的表示を取得している。
オウロプレット市カショエイラ・ド・カンポ地域の正式登録が決定すれば、ジャブチカーバの地理的表示は2例目となる。
ビキーニョは、カプシクン属のトウガラシの一種だが、辛くなくて香りのよい品種。丸っこい形で先っぽが尖っている様子が、“人間が口を尖らせている仕草”(ビキーニョ)に似ていることから、こう呼ばれている。ミナスジェライス州皆やゴイアス州巣などでは料理の香味として重宝されている。確定すればビキーニョの地理的表示は初となる。
2025年7月9日現在、ブラジルにおける地理的表示の登録数は137件で、最も登録数が多いのがミナスジェライス州(21件)となっている。次点はパラナ州(20件)。
(文/麻生雅人)