マラジョー島の料理人、COP30に向けて新メニューを開発
2025年 10月 13日
マラジョー島(パラー州)のソウリ市にある「カフェ・ドナ・ビラ」は、記憶と結びついたエモーションと地域の食文化が交差する場所として親しまれている。
店を切り盛りするのは、セアラー州出身の起業家ラナ・コヘイアさん。彼女はクスクスやタピオカなど北東部の家庭料理と、マラジョー産チーズ、水牛肉などパラー州の特産品を融合させた独自のメニューを提供している。
「2023年にデリバリーから始めたんですが、需要が増えてきたので店舗を構えることにしました。カフェには“家庭の味”と“家庭の雰囲気”を持たせたかったんです」(ラナ・コヘイアさん)
「ここで食事をすると、子どもの頃のことや、おばあちゃんの家、この店の目の前にある“愛の浜”に通っていた頃の思い出がよみがえる、とお客さまは言ってくれます。そうした感情のつながりこそが、このカフェを特別な場所にしているのです」(ラナ・コヘイアさん)
温かみのある雰囲気と家庭の味を思わせるメニューが、地元住民や観光客の心をつかんでいる。人気メニューは、チーズと肉を詰めたタピオカ・モリャーダ(タピオカ・クレープのココナッツミルクがけ)、クリーミーなトウモロコシケーキ、そして具だくさんのクスクスだ。
11月にベレンで開催される予定の第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)を見据え、ラナさんは地元食材を前面に押し出した2つの新メニューを開発した。
ひとつは水牛のフィレ肉を使った「クスクス・ジ・ムハー」、もうひとつは地元産のエビとマラジョー産チーズを使った「クスクス・プライア・ド・アモール」。
ラナさんはソウリ市に移住して4年、カフェ・ドナ・ビラを開店して2年になる。それ以前はフォルタレーザ市やベレン市で高等教育分野に従事していたが、マラジョー島で料理への情熱を見出したという。
「以前は友人のために料理するだけでした。でもここで、自分でも気づかなかった才能を発見したんです」(ラナ・コヘイアさん)
彼女はブラジル中小・零細企業支援機関(SEBRAE)から研修や地域連携の支援を受け、地域文化の価値に敏感な新世代のマラジョー起業家の象徴的存在として頭角を現している。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)