日本代表対ブラジル代表戦前日、両チームが公開練習を実施

2025年 10月 14日

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10月13日、日本。対日本戦を控えトレーニングを行うブラジル代表(写真/Rafael Ribeiro/CBF)

3年ぶりのサッカー日本代表とブラジル代表の親善試合が10月14日(火)に味の素スタジアム(東京スタジアム)で行われる。

その試合に先立ち、試合前日に、両チームの公式会見と公式練習が行われた。

日本で行われる通常の親善試合とは違い、相手国(今回はブラジル)のメディアの数の多さに圧倒された。さすがは、サッカー王国ブラジルだ。メディアの力の入れようも半端ない。

FIFAワールドカップ(以下W杯)予選では大苦戦の末なんとか本大会出場を決めたが、3日前に行われた韓国戦では5-0で勝利し、格の違いを見せつけたブラジル代表。ブラジル国民の期待も高まり、帯同しているメディアも十分にやりがいを感じていることだろう。

ここでは、ブラジルの対応に絞って、記述していきたい。

まず公式会見が行われた。

ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル)、監督のカルロ・アンチェロッティの順におよそ20分ずつ、メディアの質問に丁寧に答えてくれた。

中盤の底でカゼミーロ(マンチェスター・ユナイテッド)とコンビを組み、完全にレギュラーに定着した感のあるブルーノ・ギマランイス。クラブでも中心人物として活躍しており、自信に満ちた表情が印象的だった。

「今が一番よい状態だと思う」

「来年6月のW杯に向け、ラストスパートのときにチームは素晴らしいパフォーマンスを見せられている」

「東京は4年前のオリンピックでも金メダルを取っているし、ニューカッスルでも2年前に来ており、よい思い出ばかり。大好きで、家族も連れて来たい」

「(日本チームについて)プレミアでプレーしている三笘、鎌田のほかにも、リバプールにいた南野はよい選手だと思うし、久保も知っている。ボールコントロールしようとするチームで、とてもレベルが高いチーム。スペースを与えてはいけない」

といったコメントを述べた。

続いて、カルロ・アンチェロッティ監督が登壇した。

スペインの名門、レアル・マドリードを筆頭に世界の名門チームを率いて、数多くの実績を築き上げた誰もが認める名将中の名将。今年5月に就任したが、ブラジル人以外の外国人監督(イタリア人)ということで注目を浴びた。落ち着いた佇まいが印象的だった。

「(韓国戦の大勝の後、ブラジル国内メディアから美しいサッカーが戻ってきたと言われたことについて)ブラジル人個々のクオリティが結果的に美しいサッカーになっていると思うが、集団的な動き、決め事、オフザボールの動きなども同様に美しいサッカーだと思っている」

「(ブラジルの文化としては早々に11人のレギュラーを決める傾向があることについて)チーム内の競争は重要。W杯に向けてローテーションを行い、どの選手がマッチするか、一つのプレースタイルだけでなく、複数のプレースタイルをつくることも必要で、ブラジル人選手たちはそれを可能にする」

「(ネイマールの代表招集について)ネイマールはコンディションさえよければ、当然代表チームでも十分にプレーできる。世界中のどのチームでも十分にパフォーマンスを発揮することができるだろう」

とコメントした。

その後行われた公式練習は冒頭の15分だけ公開された。

ピッチ中央で円になってのミーティング、そして軽くウォーミングアップを行い、全員でボール1個の鳥かごを行ったところまでしか見ることができなかった。

ブラジルの公式練習が終わり、日本の公式練習が始まろうとしたときに、ブラジル人選手が一人だけ、報道陣のほうに近づいてきた。リシャーリソン(トッテナム)だった。

ファンサービスのためにわざわざやって来たのだ。スタジアムの外部にいるファンに対して、柵越しに、サインを書いたり、一緒に写メを取ったりして、ファンサービスを行っていた。

このような取材は何度か行っているが、国際試合の公式練習時に、選手自らが率先してファンサービスをしていることを初めて目の当たりにした。

強面の外見からは想像もつかないが、リシャーリソンの優しさ、ファンを思う気持ちに心打たれた。私も二三、言葉を交わした。

セレソンの9番を付けているが、3日前の韓国戦では途中出場で10分強のプレー時間に留まっていた。4年前の東京オリンピックでは得点王に輝き、チームの完全なる中心人物であり、金メダル獲得の立役者となっている。ここ数年は怪我に泣かされ、思うようなプレーができていなかった。

しかしながら、今季はプレミアの開幕戦でバイシクルシュートを決めるなど、まずまずのスタートを切ることに成功している。

明日の試合では、そんなリシャーリソンの活躍も期待したい。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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