ブラジル映画界、依然として人種差別に起因する不平等根強く

2026年 09月 21日

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2027年米アカデミー賞国際長編映画賞への出品作として選ばれた『ググの世界(原題:Feito Pipa)』も、黒人家族の物語を扱っている(画像提供:Paris Filmes)

アラン・デベルトン監督の映画『ググの世界(原題:Feito Pipa)』が来年のオスカー候補選出を目指すブラジル代表作品に選ばれたほか、黒人の家族の物語を描く2本の長編も、事前選考で選ばれた6作品のリストに含まれていた。

その2作品は、ガブリエウ・マルチンス監督の『ヴィセンチーナの罪(原題:Vicentina Pede Desculpas)』と、グラッシ・パッソ監督の『ぼくらの隠しごと(原題:Nosso Segredo)』で、いずれも黒人監督による作品である。

「これらは観客を感動させ、慣習に疑問を投げかけ、世界最大級の映画の舞台で存在感を獲得している物語です」と語るのは、ブラジル黒人視聴覚専門職協会(Apan)のタチアーナ・カルヴァーリョ会長だ。

しかし、こうした評価が進む一方で、研究者でもあるカルヴァーリョ会長は、非白人アーティストの制作環境は、黒人が多数を占める国として本来あるべき水準には程遠いと指摘。制作者への支援により大きな公平性が必要だと強調する。

<声明文の発表>

今週、同協会は政治的に中立の立場から、業界関係者および今年の選挙候補者に向けた声明文を発表し、黒人について語る表現作品における、専門職の市場での存在と継続性を強化する必要性を訴えた。

声明によると、黒人が制作現場に参画する割合は依然として低く、公共助成の中心枠(大型助成)へのアクセスではとりわけ格差が顕著に続いている。

地上波テレビでは、雇用登録者の65%が白人、32.6%が黒人・褐色人種である。

映画制作では白人が69.6%、黒人が29.3%で、黒人女性の賃金は特に低い。

さらに、連邦資金を受けた映画の94%が白人監督によるものだった。

<低賃金の構造>

協会は、黒人専門職が技術職に集中し、低賃金、非正規雇用、労働保護の不足にさらされやすいと指摘する。そのため、制作チームにおける人種・ジェンダー格差を縮小する仕組みが必要だと主張する。

「声明は既存の公共政策の改善を提案しています。。黒人映画はブラジル映画の正統な一部です。業界のアファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)政策と、黒人を排除することのない、より開かれた視点を支持します」(タチアーナ・カルヴァーリョ会長)

同氏は、ブラジル芸術支援のための「パウロ・グスターヴォ法」(パンデミック後の文化復興法案)や「アウジール・ブランキ国家文化振興政策」の実施により、差別の是正に前進があったと評価する。協会の調査では、黒人監督の作品を扱う映画祭の58%が昨年、これらの助成を直接受けていた。

声明は、黒人監督によるブラジルの映像作品の83%が2010年以降に制作されていることも指摘している。

また、前政権下では機能停止状態だった映画最高評議会の復活や、視聴者拡大を目的とした視聴覚セクター基金運営委員会の新たな設置により、文化政策の組織化が改善したと評価する。

さらに、オスカーなど国際イベントでのブラジル映画の露出増加が、観客形成に寄与していると述べる。

研究者として同氏が評価するもう一つの取り組みは、ブラジル映画を無料で視聴できるプラットフォーム「Tela Brasil」の創設だ。

<映画保護政策の不足>

カルヴァーリョ氏は、ブラジルには米国のような国内映画保護法が存在しないと説明する。

「映画館で20%のブラジル映画枠を守ろうと主張すると、国際映画への“検閲”だと騒ぎ立てる声があがります」

同氏は、ブラジル映画を観客に届けるための法制度が「非常に弱い」と指摘し、上院と下院がより強力な保護法を制定する必要があると述べる。

「年間200本の国産映画が制作されているにもかかわらず、ブラジル国民がそれらを観る機会はきわめて限られています」

<公的資金の偏り>

500万レアル以上の公的資金を受けた映画のうち、90%以上が白人監督によるものだと協会は指摘する。

「これは、ブラジル国民が主に何を観ているかを示しています」とカルヴァーリョ氏は語る。

現在、制作助成の最低25%がアファーマティブ・アクション政策の枠で、内訳は黒人15%、先住民5%、障害者5%となっている。

声明はアファーマティブ・アクションの拡大を求めている。

「その具体策として、この政策の中に『歴史的修復に使命を持つ企業』という新たなカテゴリーを設けることを提案しました。これは、黒人が株主の過半数を占める企業を指します」

<不正の報告>

カルヴァーリョ氏はまた、「パウロ・グスターヴォ法」の不適切な運用に関する苦情が日常的に寄せられているとも指摘した。

黒人が同意書に署名したものの、資金が制作会社に届くとプロジェクトから排除されるケースや、黒人ではない人物が黒人であると自己申告するケースが報告されているという。

協会は大学の人種枠で行われているような「外部識別委員会」の導入を提案している。

同時に、黒人映画の制作を教育現場で促進することが不可欠だと強調する。

「これは最も重要なことです。ブラジルのアフリカ系文化・歴史、そして先住民文化の教育を義務付ける法律とも一致します」

教室で映画を上映することは、全日制学校の放課後活動や、週末に学校と地域コミュニティをつなぐ取り組みに役立つ。

カルヴァーリョ氏によると、ブラジルの映像作品を理解し、自国をより深く知る新しい観客層を育てることは、計り知れない“賞”に等しい価値を持つという。

(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)