リオ五輪サッカー開幕! ブラジル、不覚にもドロー発進

2016年 08月 6日

ブラジル対南アフリカ リオ五輪

8月4日(木)(日本時間5日(金))、開幕式に先駆けてリオデジャネイロ・オリンピックの男子サッカー競技が始まった。

今回の五輪サッカーについては、筆者はまずはブラジル、そして自国である日本の順で応援しているが、開幕戦は双方ともに大変な、そして不本意な試合になってしまった。

ブラジルと日本の時差は都市によって若干の違いがあるが、ほとんどの都市で12時間なので、ちょうど昼夜逆転の状況になる。テレビで観戦する人にとってはなかなかリアルタイムで見れない試合も多い。そんな中、ブラジルの開幕戦は日本時間の早朝4時から、そして日本の開幕戦は午前10時から開始された。

ブラジルの開幕戦の相手は南アフリカ。会場は首都ブラジリアのマネ・ガヒンシャ・スタジアムだった。

ブラジルの布陣は、中盤のラフィーニャがヘナト・アウグストに、そしてGKがOAのウェヴェルトンに代わったが、それ以外は日本戦と同じだった。ネイマールとWガブリエウの強力3トップ、それに筆者が一押ししているフェリペ・アンデルソンは、揃って先発していた。

リオ五輪 ガブリエウ ガビゴウ ブラジル 南 アフリカ

どのような攻撃が繰り広げられるかとても楽しみにしていたが、なかなか思うように攻撃することができない。南アフリカの守備がとてもいいのだ。7月31日(土)に行われた日本戦での縦横無尽な攻撃がうそのように、ブラジルの攻撃の芽をことごとくつぶしていた。とくに、中盤がうまく機能していないような気がした。

日本戦では、中盤の3人の配置を、チアゴ・マイアとラフィーニャのWボランチ、フェリペ・アンデルソンをトップ下に持ってきていたが、今回は、チアゴ・マイアのワンボランチに2列目にフェリペ・アンデルソンとヘナト・アウグストが並んで入るような布陣だった。

このときは、Wボランチがうまくバランスを取っていたが、今回はワンボランチのチアゴ・マイアの負担が大きく、前線との距離、そして選手同士の距離感もうまくいっていないように感じた。パスミスなども多く見られた。

どちらかというとブラジルが攻めるが、決していい攻めができているわけではなく、これはよくないな、と思いながら見ていた。なかなか打開できない状況が続いていたが、なんと、後半14分に南アフリカのボランチ、ムバラが2枚目のイエローカードをもらい退場し、ブラジルは数的優位で戦えることになった。

それからブラジルは息を吹き返し、やっと攻撃ができるようになった。しかし、シュートまで持ち込むがことごとくゴールマウスに入れることができない。

まるで、2014年ブラジルW杯の日本対ギリシャ戦を見ているようだった。

あの時、筆者はスタジアムで観戦していたが、数的優位になったにもかかわらず、日本は攻め続けるが守りを固めたギリシャのゴールをこじ開けることは最後までできなかったのだ。

そんな状況が続き、残り時間も少なくなるにしたがって、ブラジルにはあせり、南アフリカには希望が沸いてくる様子がはっきりと伝わってきた。

結局、0-0でブラジルは開幕戦を飾ることはできなかった。観客からのブーイングはすごいものだった。

自国開催の南米初の五輪、国技であるサッカーだけはなんとしても金メダルを取らなければならない、そんな思いを背負っているブラジルの選手たち。2014年のW杯、そして今年のコパアメリカの屈辱を晴らしたいという気持ちも当然あるだろう。そんな状況下で開幕した五輪サッカーだったが、開催国ブラジルにとって、非常に残念な船出になってしまった。

サッカーとはなんて残酷なスポーツなのか、と思わさざるをえないが、これがサッカーである。

これだけのタレントを持った選手を揃えても結果を出すということは本当に難しい。大舞台にめっぽう強いネイマールでもゴールを決められないことはちょっと気になるところだ。

下手すれば、予選敗退も頭をよぎる。そんなことになったら、大暴動が起きるかもしれない。などということを思わされたブラジルの開幕戦だった。

(文/コウトク、写真/Marcelo Camargo/Agência Brasil)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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