サンタの家、路上に敷設された視覚障がい者用ブロックを塞ぐ
2016年 12月 19日クリスマスまであと1週間。ブラジルでも町のあちこちでクリスマスツリーやサンタクロースなどがお目見えし、にぎやかさがピークを迎えようとしている。
そんな中、パラナ州の、とあるクリスマス企画が物議を醸しているという。
TVグローボ系列のテレビ局、RPCが12月17日(土)に伝えたところによると、パラナ州ポンタ・グロッサ市に期間限定で設置された「サンタの家」が、視覚障害用の誘導ブロックを塞いでしまっているという。
「サンタの家」はポンタ・グロッサ市中心部のコロネウ・クラウヂオ通りの歩道に設置されている。訪れる子供たちにサンタがお菓子を配り、訪れた人みんなと一緒に写真を撮ることができ、内部のデコレーションも本格的で老若男女になかなか好評の施設だ。
この施設を設置したのはポンタ・グロッサ市商工会議所で、この時期の消費を盛り上げるために行ったという。費用は市内事業主からの寄付金で賄った。
「サンタの家」は今年初めて設置され、人々の注目を集めていることは確かで、17日午後には家の前に行列ができていた。
一方で、設置された場所は多くの人をがっかりさせた。サンタの家が誘導ブロックを塞いでいるからだ。
土曜日に中心街に買い物に訪れた視覚障害を持つ10歳の子供の母親は、「サンタの家」が建っている場所を見て場違いに思ったという。
「サンタの家はとてもきれですが、街は広く、他にいくらでもスペースがあります。何もそこに作らなくてもよかったと思います。誘導ブロックがなければ街を歩くのもままならず、とても困る人がいるのです」(視覚障害児の母、ホザンジェラ・レヴァンドスキーさん)
同様の苦情は他の市民からも寄せられており、SNSでも非難の声が上がっている。
「サンタの家」を設置したポンタ・グロッサ市商工会議所の責任者、ホジメリ・ダロリオ氏は市民の苦情に対し、家の周りには24時間体制でサポートスタッフを常駐させ、視覚障害者への対応が可能な体制をとっていると述べた。
ダロリオ氏曰く、サンタの家は最も良い場所に設置されたという。
「我々は綿密に調査を行い、事業主の要望も考慮した結果、この場所が最適だと判断しました。確かに不都合はありますが、24時間体制での監視体制で解決できていると考えます」(ダロリオ氏)
「サンタの家」は12月25日まで設置され、入場は無料、とのことだ。
(文/原田 侑、写真/Divulgação/Prefeitura)
写真は、路上の中央に黄色の視覚障害者用ブロックシートが敷設されているポンタグロッサ市のコロネウ・クラウヂオ通り。「サンタの家」は同ブロックのライン上に設置されている