ボサノヴァの創始者のひとり、ジョアン・ジルベルトが他界

2019年 07月 7日

左からグスターヴォ・カルヴァーリョ・ミランダ弁護士、ジョアン・ジルベルト、マリア・ド・セウ・ハリス(写真/Arquivo pessoal/Divulgação)

7月6日(土)、ボサノヴァを創った音楽家の一人としても知られるジョアン・ジウベルト(ジルベルト)(88)がリオデジャネイロでこの世を去ったと、現地メディア「オ・グローボ」が伝えた。

ジョアンは同居していたというマリア・ド・セウ・ハリスと、世話人のアナという女性や彼の家族に看取られ自宅で息を引き取ったという。

ジョアン・ジルベルトの近況に関しては、2018年に、裁判所から長年暮らしていたレブロンのマンションの家賃を滞納していたことから立ち退き命令が出され住居を移したことや、ヘルニアなどの病気を抱え療養生活を送っていること、などが「エスタダォン」などで報じられていた。

ジョアンは、フイ・カストロの著書「パジャマを着た神様」にも記されているように、ほとんど外出をせずマンションでほとんど隠遁生活を送っていたことでも知られるが、 「オ・グローボ」は、 他界する数日前の7月2日(火)にシュハスカリーア(シュハスコのレストラン)に現われ夕食を楽しんだ様子を報じている。

ジョアンが食事をしたとされているのはレミ地区にあるシュハスカリーア「マリウ」で、同席していたのはジョアンの著作権を担当する弁護士のグスターヴォ・カルヴァーリョ・ミランダと、ジョアンとは1984年にリスボンで知り合って以来の付き合いとなるモザンビーク出身のマリア・ド・セウ・ハリス(55)とのこと。ジョアンは一人では歩けず、マリアに支えられてレストランにやって来たという。

「オ・グローボ」によるとマリア・ド・セウ・ハリスはジョアンに呼び寄せられてブラジルに移住して以来、一緒に生活をしていない時期もジョアンが家賃を払い続けていたという。

同弁護士はジョアンの長男ジョアン・マルセロ・ジウベルトと元妻のアストラッド・ジルベルトの委任状を持っているという。

グスターヴォ弁護士によるとこの日ジョアンは、弁護士が用意した目立たないチェック柄のブルーのスーツを着用して、レストランには約2時間滞在したという。ジョアンはカキやイセエビなどシーフードを食し、ポルトガル・ワインを注文していたとのこと。

また弁護士は、ジョアンは自宅アパートからレストランまではウーバーを利用しており、運転手がジョアンを気遣いゆっくりと運転したとも語ったという。

「ジョアンはすっかり痩せてしまっていたので、スーツは私のものを借りて着用していました。彼自身が気に入ったものを選んで、私は着替えの手伝いもしていました」(グスターヴォ・カルヴァーリョ・ミランダ 弁護士)

倒産法における裁判上の再生の専門家だというグスターヴォ弁護士自身によると、同氏はジョアンの寝室でも付き添うほど信頼を得ていたとう。弁護士は抱えている訴訟の内容は明らかにしなかったが、生前ジョアンはパートナーの行く末を心配していたという。

(文/麻生雅人)