ブラジルで行われた社会的隔離で11万8,000人の死亡が回避!?

2020年 07月 24日

5月6日、リオデジャネイロ市。社会的隔離が行われていた当時、街頭のデジタル時計では市内各地の人出の減少率を告知していた。この日のイパネマ~レブロン地区の人出は平時より80%少なかったという(写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)

ブラジルの大手メディア「オ・グローボ」が7月24日(金)、5月にブラジルで行われた社会的隔離策が、11万8,000人の命を救った可能性があるという研究発表を伝えている。

研究はリオデジャネイロ連邦農業大学(UFRRJ)による経済統計分野のカイオ・シャイン教授によるもので、パンデミックがブラジルの各種でどのように猛威をふるったかを検証したという。

携帯電話のGPSモニタリングをもとに得た社会的隔離の数値に基づいて、ウイルスがブラジルの各州でどのように広がっているかを調べたというこの研究によると、社会的隔離が1%増加するとウイルスの増殖率が37%減少する計算になったという。

「社会的隔離策が行われなかった場合のパンデミックの状況を予測して、予測された症例数と、疫学モデル上のブラジルにおけるCovid-19の致死率を照らし合わせて、回避された死亡件数を推定しました」(カイオ・シャイン教授)

この研究の計算によると5月の国内の死亡者数は最多で147,447人となっていた可能性があるという試算になり、実際の死者数29,367人の約5倍だったという。

また、「オ・グローボ」は同日、7月上旬に日本で共同通信が行った世論調査の結果を報じ、日本国内で2021年に東京オリンピック・パラリンピックを開催すべきかどうかの意見が分かれていると伝えた。

同紙によると、共同通信の調査結果では、70%以上の回答者が2011年夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催を延期、または中止すべきと答えたという。同調査では「再延期すべき」と答えた人が36.4%、「中止すべき」と答えた人が33.7%だったという。

この調査結果はアメリカ合衆国でも「タイム」紙によって7月22日に報じられている。

また同メディアは、大会組織委員会やIOCは無観客で開催することは意図していないこともあり、本大会の実現は日本の状況のみに依存するものではないとも記している。2016年のリオでジャネイロ・オリンピック・パラリンピックでは、期間中に40万人以上の外国人観光客がブラジルに訪れたという。

7月23日(木)20時に「オ・グローボ」、「G1」、「エシトラ」、「フォーリャ・ヂ・サンパウロ」、「UOL」、「エスタード・ヂ・サンパウロ」 によるメディア連合が各紙で発表した、新型コロナウイルス感染症に関する全国のデータは以下。

累計感染者    2.289.951人 (7月22日: 2.231.871人)
新規の感染者  58.080人 (7月22日: 65.339人)
,
累計死亡者    84,207人 (7月22日:  82,890人)
新規の死亡者    1,055人 (7月22日:  1,293人)

(文/麻生雅人)