先住民の各部族の監督による映像作品上映会、サンパウロで開催へ
2025年 07月 6日
7月13日、サンパウロ市のアルマンド・アウヴァリス・ペンテアドー財団(FAAP)で開催される先住民映画祭では、国内各地の先住民映画製作者たちによる作品が上映される。
上映時間は午前11時から午後9時30分までで、無料で一般公開される。
サンパウロ州政府文化・経済・クリエイティブ産業局が主導する「サンパウロ・オーディオビジュアル・ハブ」プロジェクトが主催するこの展示会では、グアラニー族、クイクロ族、フニ・クイン族、ヤノマミ族、ムンドゥルク族、トゥカーノ族、トゥピナンバー族、イクペン族、グアジャジャラ族出身の映画製作者11人が監督した映画、ドキュメンタリー、ビデオレポートが上映される。
映画祭のキュレーターは、カロリーナ・カフェ、ケレシュ・マルチン・グアラニー、エヂヴァン・グアジャジャラが務める。いくつかの作品の上映の後には、映画製作者、主演俳優、リーダーたちによる討論会も行われる。
討論会にはベカ・ムンドゥルク、エヂバン・グアジャジャラ、オレメー・イクペン、ケレシュ・マルチン、ヒシャーヂ・ヴェラ・ミリン・グアラニー、ナターリア・トゥピ、ジェラ・グアラニー、シァイ・スルイ、チアーゴ・グアラニー、ラリッサ・トゥカーノ、ベアトリス・パンカライ、ジェニ・ヌニェスが参加する。
<上映プログラム>
12時~14時
●「マリ・ヒ 夢の木」モルザニエウ・アラマリ監督(ヤノマミ族)
偉大なシャーマンの言葉と共に、「マリの木の花が咲くと夢が生まれる」という格言の一部が、映画とヤノマミ族の夢の相乗効果を通じて、夢幻体験をいざない、森で暮らす人々の詩情と教えを伝える。
●「私のカメラは私の矢」ナターリア・トゥピ監督、ギリェルミ・ファシーナ監督(グアラニー族、トゥピナンバ族)
サンパウロのバンデイランチス高速道路沿いに今も残るジャラグアー先住民族の土地で暮らす、グアラニー・ムビア族出身の若い先住民コミュニケーター、ヒシャーヂ・ヴェラ・ミリンの物語。この映画では、オーディオビジュアルの力と先住民の闘争と抵抗におけるソーシャルネットワークの活用を組み合わせ、彼の軌跡の一部を紹介する。
この作品は、先住民族の文化、知識、テリトリーなど側面を、体験する人々の目を通して、カメラを“矢”、つまり、記録し描写するための強力なコミュニケーションツールとして、描く。
●「私たちはルーツ:森の守護者」エヂバン・グアジャジャラ監督(グアジャジャラ族)
マラニョン州のテネテハラ領土のために戦う人々、グアジャジャラ族の森の守護者たちの現実を伝えるビデオレポート。彼らは、マラニョン州のアマゾン地域に残る森林(元々の面積の 20% 未満)を守る活動で世界的に知られている。
アラリボーイア先住民保護区とカル先住民保護区では、約120人の先住民による自衛部隊が領土を守っており、保護活動家らが伐採業者やその他の侵入者を追い出し、時には自らの命を犠牲にしている。
上映後には、ベアトリス・パンカラルのコーディネートにより、監督とヒシャーヂ・ヴェラ・ミリン・グアラニーとのトークが行われる。
15時~17時
●「燃える森林」タクマン・クイクロ監督(イクロ族)
シャーマンとその家族が釣りに出かけ釣りをしていると、怯えたジャガーが助けを求めて近づいてくる。シャーマンはすぐに村に戻り、迫り来る危険を人々に警告する。危機への不安が高まる中、スピリチュアルな祈祷にかけるシャーマン。しかし火は森を覆いつくし、動物たちは逃げ惑うが、なすすべのない者たちもいる…。
●「トゥエ・ピヒ・クウィ:考える女性」アイダ・ハリカ・ヤノマミ監督、エジマール・トコリノ・ヤノマミ監督、ホゼアーニ・ヤリアナ・ヤノマミ監督(ヤノマミ族)。
ひとりの、ヤノマミ族の女性が、シャーマンが精霊の食べ物であるヤコアナを準備するのを見守っている。先住民族の若い女性の語りを通じて紹介される、精霊シャピリの食事であり、シャーマンが精霊の世界に入るためのツールでもあるヤコアナは、視点と想像力の出会いをも見せる。
●「アグイジェヴェッチ・アバシ」ケレシュ・ミリン監督(グアラニー族)
カリペティ集落で生活するグアラニー・ムビア族の伝統的なトウモロコシ品種の栽培の復活を祝うドキュメンタリー。この地域は、数十年にわたるユーカリの単一栽培の結果、かつては乾燥して荒廃していた。神々が天界で食べ物と考えられているトウモロコシの、植え付けから収穫まで、集落の人々が集まって行う儀式や祝福を描く。これを食べることにより、神々と同じように人間も生命力のバランスが保たれると考えられている。
上映後にはツァイ・スルイのコーディネートで、ケレチュ・マルチンとジェラ・グアラニーのトークが予定されている。
17時~19時
●「ラミ・ラミ・キラニ」リラ・フニ・クイン監督(フニ・クイン族)。
これは、男性のみが薬用の知識を持っていたため、最近まで薬用植物ニクシ・パエ(アヤワスカ)を聖別したり扱ったりすることができなかったフニ・クイン族の女性たちの物語。映画は、フニ・クイン族の女性を通して、アヤワスカに関する研修、変化や力について描く。アクリ州のカラパナン海岸先住民族居住地にあるミバヤ集落で行われた、オーディオビジュアル研修および先住民族女性の権利に関するワークショップ中に制作された。
●「ニェモンガライー 昨日、今日、そして明日」ナタリア・トゥピ監督(トゥピナンバ族)、ヒシャーヂ・ヴェラ・ミリンが監督(グアラニー族)
この映画は、毎年、サンパウロ州ジャグアラー先住民居住地にあるテコア・ピャウ集落で水の洗礼が行われる1月24日の夜を捉えている。このドキュメンタリーは、この集落の若い指導者であるミシャエル・トゥパン・ポピグアーがナレーションを務め、文化と世代から世代へと受け継がれるものの重要性を強調している。またこの映画は、撮影の1か月後に亡くなった指導者アリージオ・トゥパン・ミリンにも捧げられている。
●「Wehse Darase – 農場での仕事」ラリサ・トゥカーノ監督(トゥカーノ族)。
国立歴史美術遺産院(Iphan)が主催したネグロ川の伝統的な農業システムを守るためのオーディオビジュアルワークショップの中で制作されたドキュメンタリー。映画は、ブラジルの無形文化遺産に指定されているこの農業システムに取り組む農場を背景に、世代間の関係を、親密かつ主観的に描いている。映画は、ネグロ川流域の先住民コミュニティのアイデンティティと持続可能な伝統的農業の重要性を強調し、世代間で受け継がれてきた先祖伝来の慣習と知識に焦点を当てている。
上映後には、チアーゴ・グアラニーのコーディネートで、ナターリア・トゥピとラリッサ・トゥカーノの意見交換が行われる。
19:30~21:30
●「ヤラン・マミン」カマトシ・イクペン監督(イクペン族)
映画は、シングー先住民族居住区(MT)で在来種の植物の種子を集めるイクペン族の女性たちの日常生活に迫る。収集者たちはヤラン女性運動を創設し、10年間で3.2トンの森林の種子を集め、これにより、シングー川とアラグアイア川の流域に約100万本の樹木を植えることが可能となった。この活動は、残された森林が破壊の胸囲に侵されつつある中で、希望の風を吹かせている。
●「魚女の森」ダジェ・ケパップ・エピ監督(ムンドゥルクユ族)
世界の成り立ちにおいて人間が森や植物、動物に変化したという、ムンドゥルク族の神話に伝わる魚女の森について語る。サウレ・ムイブ集落の日常生活において、森の精霊は先祖伝来の霊的な力であるだけでなく、家族の一員でもある。
上映後には、ジェニ・ヌニェスのコーディネートにより、オレミ・イクペンとベカ・ムンドゥルクとの対談が行われる。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)