サンパウロの街がサステナブルをテーマにした期間限定ミュージアムに
2025年 09月 17日
11月にベレンで開催される第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)の開催年である2025年、イベント「サステナブル・フェスティバル(Virada Sustentável/ヴィラーダ・スステンターヴェウ)」は、サンパウロにて、無料かつ分散型のプログラムを通じて15年の歴史を祝う。
9月17日から21日にかけて、ラテンアメリカ最大のサステナビリティ・フェスティバルがサンパウロ市内のさまざまな場所を舞台に展開される。インスタレーション・アート、マーケット、展示、パフォーマンス、ワークショップ、ライブ、映画上映、討論会、そして「サステナブル・フェスティバル・フォーラム」などがプログラムの一部として予定されている。
ブラジルにある国連の関連機関との協力のもとに開催される「サステナブル・フェスティバル」は今年で15周年を迎え、これまでに国内各地で55回の開催実績を誇っている。サンパウロでは今回が第15回目の開催となる。
今回のフェスでは、これまでの開催を通じて象徴的な存在だった芸術作品が展示され、期間中、街は“持続可能性をテーマにした期間限定ミュージアム”となる。
サンパウロ市文化センター(CCSP)では、都市、環境、社会、経済をテーマにした講演や討論会がフォーラムの一環として行われる。
注目イベントの一つは、ブラジルにおける自然写真の先駆者の一人であるアラケン・アウカンタラの展示。そのほか会場では、歌手マリアーナ・アイダールのライブや、アナ・ムイラエルチ監督による話題のブラジル映画「世界でいちばんのママ」の上映も予定されている。
フォーラムの登壇者として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ブラジル支局のマリア・ベアトリス・ノゲイラ代表、持続可能な都市と地域をめざす自治体協議会(ICLEI)南米支部のホドリゴ・ペルペトゥオ事務局長、そして社会起業家でありインスティチュート・オヤおよびクリエイターズ・アカデミーの創設者でもある活動家カミラ・カミロ氏など、著名な人物の参加が確定している。
また、グラフィッチやピッショなどのストリートアートで知られるリッショマニアやオクシウなどのアートインスタレーションも設置される。
さらに、ファストファッションの破壊的な循環とその社会・環境への影響を告発するSpParisによる作品「破壊的循環」も展示される。これらの作品は、消費と廃棄物に対する意識を喚起することを目的としている。
パウリスタ大通りにある博物館「カーザ・ダス・ホーザス」では、古着市、展示、音楽イベントが開催されるほか、先住民活動家のシャイ・スルイー氏、グアラニー・ムビャ族のジャシ・マルチンス氏、同じく先住民活動家のデイ・モレイラ氏によるトークセッション「抵抗の根源」が行われる。進行役は教育学修士で環境活動家でもあるチルレイ・パンカラー氏が務める。
先住民を題材にした表現は、サンパウロ美術館(MASP)の屋外スペースでも打ち出される。ここでは、フルニオー族のアーティストによるパフォーマンスや芸術的なプレゼンテーションが一般公開される予定。
ジャラグアー先住民居住区内のピンドミリン集落では、写真家・ジャーナリストのハファエウ・ヴィレーラ氏によるプロジェクト「森の廃墟」の写真展がサンパウロで初開催される。ヴィレーラ氏は、イベロアメリカ圏のドキュメンタリー写真の権威あるコンテスト「POY-Latam 2025」の受賞者であり、この展示はロンドンでの公開を経て、今回初めてブラジル国内で披露される。
市の西部に位置するピニェイロス川沿いの自転車専用道では、芸術作品「カピバラたち」が来場者の注目を集めそうだ。これは、高さ4メートルのカピバラの母子をかたどった巨大な空気の芸術で、アーティストのエドゥアルド・バウンによって制作された。この作品は、環境のバランスにおいて静かに貢献している大型齧歯類の存在を象徴している。
ウォールアートもプログラムに含まれている。活動家ムンダーノによって制作された新しい壁画は、ジャセグアイ通り930番地にあり、すでに通行人の目に触れている。195.5平方メートルに及ぶこの作品は、リサイクル資源を回収する労働者たちへのオマージュとなっている。使用された塗料は、パラー州アナンベ集落で焼失した森林の灰と、州内各地で採取された粘土から作られている。
プログラムの多様性は市内のその他地域にも広がっており、統合型教育センター(CEU)、商業部門による社会支援センター(SESC)、基礎医療ユニット(UBS)、加えて、公園などの公共空間でも展開される。
同フェスティバルはサンパウロ市での開催を終えた後、リオデジャネイロ市へと移動し、10月16日から19日にかけてプログラムが実施される予定。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)