ブラジルW杯 日本2戦目の開催都市ナタウ(ナタール)のサッカー事情について

2014年 02月 9日

ナタウセアラーミリン川

前回に引き続き、W杯で日本代表が戦う都市について記述していきたいと思う。今回は、2戦目の舞台となるナタウのサッカー事情について。

ナタウはNatalと表記し、現地語ではLをルではなくウと発音するので、ナタウとなる。サンパウロのサッカーチームPalmeirasをパルメイラスではなくパウメイラスと発音するのと同じである。

ナタウは、初戦を戦うヘシーフィ(レシフェ)と同じ北東部に属し、ヘシーフィからも約300キロと距離的にも近い。ヒオ・グランジ・ド・ノルチ州の州都であり、人口約80万人のそれなりの規模の都市である。

私も2010年に一度訪れたことがある。ナタウといえば、ビーチと砂丘が有名な、ブラジルでもかなり人気の観光地である。ナタウには美しいビーチが多数あるが、その中でもポンタネグラ海岸がその利便性から特に人気が高い。また、シュノーケルポイントもあり、美しい海の中で数々の魚と戯れることもできる。

砂丘では、バギー(現地ではブギーという)砂丘を縦横無尽に走り回るツアーが人気で、私もそれに参加した。ここでは、オープンカーで4輪駆動のバギーが特に活躍する。猛スピードで砂丘を走り回ることが、バギーの運転手の腕の見せ所で、こちらはジェットコースターに乗ってるような感じでスリル満点である。

時折、途中で止まり、エスキ・ブンダを楽しむ。これは、現地語でお尻のスキーという意味であり、要はそり遊びである。お尻を板に乗せて滑り降りるので、お尻のスキーというわけだ。雪がないので実際のスキーやそりを楽しむことができない北東部のブラジル人にとって、エスキ・ブンダは大人気である。

さて、そんなナタウにも当然サッカーチームはあるが、お世辞にも強いといえるチームはない。

一番有名なのは、アメリカ・ジ・ナタウというチームだ。現在2部(セリエB)に所属しているが、私がブラジルに滞在していた2005年~2012年の間に、1部に所属していたときもあった。しかし、常に最下位争いをしているようなチームである。

ブラジルには、アメリカという名前のチームが数多くあるので、一般的にアメリカ・ジ・ナタウ(ナタウのアメリカ)と呼ばれている。チームカラーは赤と白で、ホームスタジアムのマシャダオンは建て替えられ、今回のW杯で使われるアレーナ・ダス・ドゥーナスとして生まれ変わった。

もう一つが、ABCというチームである。2011年以降現在まで2部に所属している。私がブラジル滞在中に1部に所属していなかったことからあまりなじみはないが、サントスの2011年のリベルタドーレス杯優勝メンバーだったFWゼ・エドゥアルドがサントスに来る直前の2009年にプレーしていた。また、名前のABCだが、アルゼンチン、ブラジル、チリの3か国の頭文字に因んでいるようだ。

さて、そんなナタウでのW杯観戦は、スタジアムのアレーナ・ダス・ドゥーナスがナタウの中心街にほど近いので、ヘシーフィに比べればかなり便利だろう。空港から、車で約15分、多くの人が泊まるであろうポンタネグラ海岸からも同じく車で15分ぐらい、10キロくらいの距離である。交通手段は、ほとんどタクシーを使うことになるだろう。

観光の話は先に記述したが、ナタウではぜひエビを食べていただきたい。近郊ではエビの養殖が行われているため、国内でも有数なエビの産地である。にんにくとオリーブオイルで香ばしく炒めたカマラォン・アーリオ・オーリオは絶品である。

(写真/Getty Images)
写真はナタウ、セアラー・ミリン川の河口

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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