ロックの集い「カルナホッキ」、ジャズフェス、伝統芸能…。サンバ以外のちょっと変わったカーニバルいろいろ

2014年 03月 2日

Boi Pintadinho

カルナヴァウ(カーニバル)・シーズン、ブラジル各地の路上ではサンバだけに限らず、ご当地の伝統音楽や、マーチ形式のカーニバル音楽を演奏したりと、さまざまな音楽で賑わいます。そんなブラジル各地のカーニバルを3月1日付け「アジェンシア・ブラジル」が紹介しています。

例えば、ロックファンは、やっぱり、ロック! この時期ブラジル各地のロック系クラブでは「CarnaRock カルナホッキ」(ホッキは、ロックのブラジル発音)と呼ばれるイベントが開催されます。

ブラジリアでカルナホッキが始まったのは90年代とのこと。5日間に渡るお祭りの間、約2000人が大騒ぎするとか。イベントでは、カルナホッキで知り合ったロックンローラーのカップル同士の結婚式が行われたこともあるそうです。イベントのオーガナイザー、Ronan Meireles ホナン・メイレリスによると、カルナホッキは静脈に精神を持っている人にとっては最高の選択肢とのこと。

「カルナホッキは、心にロックを持っている、この”ロックの日”のために生きているような、ロックンロールに人生を捧げている野郎のためのものさ。でもカルナホッキは全ての人に対して両手を広げている」(ホナン・メイレリス氏)

このアンダーグランドのカーニバルのパーティは、ブラジリアのほかにはエスピリットサント州ヴィラ・ヴェーリャ、パラナ州クリチーバでも行われています。

もちろん、サンバ以外の音楽フェスは、ロックだけではありません。ジャズのお祭りもあります。

ジャズ・フェスが開催されるのはセアラー州にある小さな都市、グアラミリンガ市。今年で15回目を迎えるジャズフェスの観客たちは、住民の数が約5000人というこの街の経済に大きな影響をもたらすようです。

プロジェクトの創設者のひとりRachel Gadelha ハシェウ・ガデーリャ氏は、フェスティバルのシーズンには街の人口が倍になるそうです。毎年、小さな通りが観光客とミュージシャンで賑わい、人々は弦楽器と管楽器による演奏を鑑賞する機会を待ちかまえるそうです。

「第一回目のフェスティバルではジャズとブルーズのカーニバルなんてうまくはずがない、ありえないと皆が言っていました」(ハシェウ・ガデーリャ氏)

フェスはグアラミリンガ市を変えました。年間を通して音楽のワークショップや教室が開催されるようになり、著名なミュージシャンと共にステージに立てるミュージシャンたちを育成しているそうです。

エスピリットサント州のムキ市のカーニバルでは伝統芸能Boi Pintadinho ボイ・ピンタヂーニョが根強く残っています。マラニョン州で有名なブンバ・メウ・ボイをはじめボイ(牡牛)にまつわる伝統芸能はブラジル各地にありますが、ボイ・ピンタヂーニョ・ヂ・ムキもまたブンバ・メウ・ボイとの関連性が指摘されている祭りのひとつだそうです。

ムキ市のカーニバルでは22の牡牛の被り物が通りに現われ、花火や打楽器の音が、市のさまざまな地域や農場の代表者による行進を盛り上げます。カーニバルの準備は各家庭で1年を通して行われるそうです。

「ボイ・ピンタヂーニョの伝統は家々で、父から子へと伝えられます。1940年代から続くこの伝統はずっと失われないでしょう」と同士文化局カーニバル担当のHeder Jofre エデル・ジョフリさんは語る。

ヴァッカス・モッシャとヴァッカ・フリオーザは共に伝統的な古参グループ。ショッキングピンクの衣裳と牛がトレードマークで、フリオーザは女性だけで構成されているグループです。

トカンチンス州の奥地ではエントルードと呼ばれる、ポルトガル伝来のカーニバル期間の水かけ遊びの習慣が残っています。エントルードでよく知られているのは同州のアハイアス市。観光客は、地元住民の家の前で市民にバケツに入った水をかけることでカーニバルに参加できます。

「ここでは皆、濡れてしまいますが、私たちは細心の注意を払い、敬意を持ってこの遊びを行います。家族的な親密さを持った遊びなので、暴力にはつながりません」と祭りのオーガナイザーの一人ヂラン・フランコさんは語る。

またヂランさんは、速乾性の衣類や、水が中にたまりにくい靴を着用するのがイベントを楽しむコツだという。

(文/麻生雅人、写真/Divulgação)
写真はエスピリットサント州ムキ市のボイ・ピンタヂーニョ