「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない~魔法じかけの言葉~」DVD、いよいよ発売。記念イベントも開催

2014年 03月 12日

tomze

2010年のブラジル映画祭で上映された、MPBにおける歌詞や言葉をテーマにしたドキュメンタリー映画「Palavra (En)cantada パラブラ・エンカンターダ(映画祭のときの邦題「魔法じかけの言葉」)」が、「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない~魔法じかけの言葉~」というタイトルでアップリンクからDVD化される。

詩とMPBの歌詞との関係や、ポルトガル語という言語ならではのMPBの歌詞の特性、ブラジルという国ならではの文化や生活様式の中で、どうやって音楽が聴かれてきたかなどに関する、複数の音楽家や評論家たちの見解が紹介されたこの作品は、ブラジル映画祭の上映作品の中でも人気が高かった作品のひとつ。

たとえば、レニーニはポルトガル語ならではの母音に関して、トン・ゼーはブラジルの口承文化や、“音”に頼って生活していた文字の読み書きができない農民たちと音楽の関係などについて、熱弁をふるう。北東部の大衆文学「リテラトゥーラ・ヂ・コルデウ」における韻を踏んだ形式詩や、ヘペンチスタと呼ばれる即興詩人の文化からのMPBへの影響については、フェヘースやベーネガォンがヒップホップの方面から、アルナウド・アントゥニスやリリーニャはMPBの方面から語る。

濃密な内容ゆえに何度でも見直し研究したくなる作品だったゆえに、日本語字幕版のDVD化は朗報だ。日本におけるブラジル音楽研究のためにも大きく役立つだろう。

監督はHelena Solberg エレナ・ソウベルギ。

出演は、 Adriana Calcanhotto アドリアーナ・カウカニョット(カルカニョット)、Antônio Cícero アントニオ・シセロ、Arnaldo Antunes アルナウド・アントゥニス、BNegão ベーネガォン、Chico Buarque シコ・ブアルキ、Ferréz フェヘース、Jorge Mautner ジョルジ・マウチネル、José Celso Martinez Correa ジョゼー・セウソ・マルチネス・コヘア、José Miguel Wisnik ジョゼー・ミゲウ・ヴィズニッキ、Lirinha (Cordel do Fogo Encantado) リリーニャ(コルデウ・ド・フォーゴ・エンカンタード)、Lenine レニーニ、Luiz Tatit ルイス・タチ、Maria Bethânia マリア・ベターニア、Martinho da Vila マルチーニョ・ダ・ヴィラ、Paulo César Pinheiro パウロ・セーザル・ピニェイロ、Tom Zé トン・ゼー、Zélia Duncan ゼリア・ドゥンカンなど。

3月14日(金)、渋谷アップリンク・ファクトリーにて、このDVDの発売記念イベントが開催される。「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない~魔法じかけの言葉~」の上映に加え、Saigenjiミニライヴ、Saigenjiと翻訳家の荒井めぐみ氏とのトークショーもある。

3/14(金) 渋谷UPLINK FACTRY
開場 19時~、上映 19時30分~
料金 1500円(1ドリンク付)
上映映画:「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない~魔法じかけの言葉~」
ライブ:Saigenji
トークショー出演:Saigenji × 荒井めぐみ
問い合わせ 03-6825-5503(アップリンク)http://wp.me/pr74C-zJ

(文/麻生雅人)
写真は「ブラジル音楽ほど素敵な歌詞はない~魔法じかけの言葉~」より、トン・ゼー