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ブラジルで、元ストリートチルドレンだった男性が最高裁判所の弁護士に

ストリートチルドレンから弁護士へ

当時19歳だったアンドレア・カルヴァーリョさんは空港出入りのレンタカー屋で働いていた。

「僕たちは仲良くなりました。時々僕はレンタカー屋に行って二人の朝ご飯を買って一緒に食べたりしました。僕にお金がない時は彼女が買ってくれたり。お昼ご飯も同じような感じでした」

アンドレアさんは母親に内緒でイズマエウさんを家に連れてきてシャワーを貸してくれたりした。イズマエウさんはその体験を「冒険」「夢」と語った。

「すべてがとてもきれいで、ベッドはとてもいい匂いがして、ベッドにはカバーがかけてありました。ゴミ溜めの中から贅沢な空間にやってきたのです」

母親はアンドレアさんに家に誰か連れてきたか聞いたが、彼女はいつも否定した。

そのころ空港で強盗騒ぎが起こり、すべてが変わったという。

「何人かの浮浪者がカウンターの中にあったカギを取り出して駐車場の車を何台か盗んだのです。警察が捜査を始め、ホームレスの子供にとってだんだん危険な場所になってきました。そこでアンドレアが『ここはもう危険だから、私の家に来るのよ。母には私が紹介するわ。月曜日にはもう落ち着いていると思うから、その時に戻ってくればいいわ』と言いました」

その週末、イズマエウさんはアンドレアさんの家族と一緒に過ごした。日曜日には一緒に教会に行き、月曜になって彼は空港に戻った。

「アンドレアが月曜に出勤する時、僕も一緒に空港に戻りました。その後何日空港にいたかはあまり覚えていませんが、アンドレアが『母があなたとまた話したいと言っている』と言いに来ました」

母親が話したかったことというのは、この母娘と一緒に住もうという提案だった。

「アンドレアのお母さんは私にこう言いました。『あなたのことをとても気に入ったわ。アンドレアと話して、あなたがここに住めばいいんじゃないか、ということになったの。すべてがうまくいくかどうかはわからないけど、試してみましょう。でも、それには一つ条件があって、あなたが自分の家族のもとに帰って、お母さんと話すことです。私があなたを保護することにお母さんが同意すれば、あなたはここに戻ってきなさい』と」

「僕はとても怖かった。実の母がどんな人かわかっていたから。6-8か月ほど家を空けていたわけだし。戻ってもいいことは何もないとわかっていました」

彼は実母との再会を思い出して笑った。

「彼女が僕を見たとき目から涙がこぼれました。泣き出して僕を抱きしめたんです。そして母は言いました。『お前は生きていたんだね。悪い子だ。お仕置き、覚悟しなさい』と。実際、百叩きのお仕置きは痛かったよ」

しかし、イズマエウさんが養子縁組の話を切りだした時、母はかたくなに拒否したという(次ページへつづく)。

(文/余田庸子、写真/A Raça de Ismael/Reprodução)
イズマエウさんが暮らしていた家のひとつ

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