地方でも成長するブラジルのクラフトビール市場
2016年 02月 26日2014年に大きな成長を見せたブラジルのセルヴェージャ・アルテザナウ(クラフトビール)市場。サンタカタリーナ州にあるビール職人養成学校「ビール・モルツ特別学校」のカルロ・エンリコ・ブレッシアーニ校長によると、ブラジルにおける同年のクラフトビール市場の成長率は20%だったという。
2013年以前には南部や南東部に集中していたクラフトビールの酒蔵は、ブラジル全土で新規参入者が増えたこともあり、各地に波が広がっている。
北東部ペルナンブッコ州でもこの3年(2014~2016年)で、手作りの生ビールやびん入りビールを好む消費者が増加、地方独特の産物を使ったビールもどんどん作られているという。地元紙「ジアリオ・ジ・ペルナンブッコ」が伝えている。
2016年1月にも、ヘシーフィ市北部のグアビラーバに新しいクラフトビールのブランド「イカウチ」が誕生した。同ブランドを創業したのはジオゴ・シアラジアとアンドレトゥルトン。ベルギーとアメリカ合衆国のビールに影響を受け、材料も両国から輸入しているという。
製造にあたり、ヨーロッパでビール作りを学んだビール職人カチア・ジョルジを招いている。当初はペルナンブッコ州内のマーケットで生ビールとして販売、軌道になったらびん入りを発売、輸出も視野に入れてるという。
「ジアリオ・ジ・ペルナンブコ」によると現時点でヘシーフィ市の国産クラフトビール市場は成長をみせており、ボア・ヴィアージェンにあるビール専門店「メストリ・セルヴェジェイロ・ポント・コン」では、輸入ビール30%に対して国産ビール70%が置かれているという。
「レアル安も国産品が増えている後押しになっています。『デブロン』、『カプンガ』というブランドも人気です。今後はホッタ66が作る『エストラーダ』、『ドゥヴァリア』、そして『イカウチ』もプッシュしたいとおもいます」と同店の店主ニュートン・セーザル・ネトとマヌエラ・キルツネルはいう。
ニュートン氏はブラジルクラフトビール協会(Abracerva)のデータとして、2015年のクラフトビール市場は2014年同様、20%の成長を見せたという。
「昨年の時点ではヘシーフィには地元産のクラフトビールが生で飲めたり販売するパブはありませんでした。それが出来てから、人気を博しています」(ニュートン・セーザル・ネト)
同店ではクラフトビールの生ビールは平均7~8レアル、びんビールは16~18レアルだという。
ヘシーフィ市北部のノルチ・ミゲウ・アハアイス・ジ・アレンカール大通りには、クラフトビール作りを目指す愛好家やクラフトビールファンが集う「シブリュ」というスポットがあり、ビール職人の養成も行っているという。
同州のクラフトビールのブームは首都ヘシーフィだけにとどまっているわけではない。
カルアルー市では、銀行員で社会学者シダルタ・ドス・サントス氏(40)が自家製ビール「ドッキ・セルヴェジェイロ」を製造しており、現在、販売も考えているという。ビールの中には 、「ドゥッキ」というブランドや、親類がやっている音楽バンドに捧げた「ジアボロ・アンジェウ」という名のビールや、趣里で言えばアメリカン・ペールエール、ヴィットビア、ラガー、インディアン・ピルゼン・ラガーなどがラインナップされている。
「自家製ですが、現在、月に300リットル製造可能です。製造の機械は舅に借りた工具箱ひとつで作りました。工具は全部壊れてしまいましたけれど、舅はビールが好きなので怒りませんでした」(シダルタ・ドス・サントス)
いいビールを作る秘訣は、衛生面にこだわることだと、シダルタ・ドス・サントス氏はいう。
「でないと菌が入ってビールが死んでしまうのです」(シダルタ・ドス・サントス)
(文/麻生雅人、写真/reprodução/facebook/EKÄUT Cervejaria Artesanal)