遺伝学者によるブラジル人種論の新展開

2016年 11月 14日

コンシエンシアネグラ

「もしブラジルが、ユニバーサルな文化の昂進に何がしか有益な寄与をしたといえるのであれば、それは人種混淆を通じて、であろう。すなわち、この人種混淆はヒューマニズムという重層における我々の存在を明示するものであり、人類に対する我々の最大の貢献である」。

これは国民作家ジョルジ・アマード(1912 ~2001)が、数多い小説群のなかでも自分で一番気に入っていると語っていた「Tenda dos Milagres(奇蹟の家)」(1969年、タイトルは店の屋号からきているので、「ミラクル堂」あたりが適訳かもしれない)の主人公ペドロ・アルカンジョが発表した論文「バイーア家族における混血状況についてのメモ」の一節であるが、いうまでもなくアルカンジョという架空の学者を通じてアマード自身の思念を語っていることは明らかである。

文学活動を通じてブラジル的価値を追求し人種混淆をポジティブに捉えた作家アマードの指摘を待つまでもなく、ブラジルは多人種多民族の国であるが、実際の人種別人口構成比はどうなっているだろうか。改めて、おさらいしてみよう(次ページへつづく)。

コンシエンシアネグラ

(文/岸和田仁、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)
写真は2014年11月20日、リオデジャネイロ。黒人意識の日を祝う人々