ブラジルで最初に通貨を鋳造したのはオランダ人

2016年 11月 16日

ブラジル 初の高架

1500年にブラジルが「発見」されてから、ポルトガルによる植民時代においては、ポルトガルで鋳造された「ヘイス」という通貨が利用されていました。

ヘイスというのは、通貨レアル(ヘアウ、Real)の複数形ヘイス(Réis)から来ています。現在でもブラジルの通貨として使われている通貨レアル(ヘアウ、Real)は、もともとポルトガルで使われていた通貨単位なのです。名称の意味はRealeza(ヘアレーザ、王位)から来ています。砂糖産業の発展に伴い、1614年からは「砂糖」がブラジルの公式通貨として制定されていた時期もありました(※現在の通貨レアル(ヘアウ、Real)の複数はヘアイス(Reais)と呼ぶのが一般的)。

さて、そんなわけでブラジルでは、既に「ヘイス」が通貨として流通していましたが、ブラジルで鋳造されたものではありませんでした。オランダ人が鋳造したのがブラジルで初めて鋳造された硬貨となったのです。硬貨の名前は、フローリン(os florins=オランダの旧貨幣単位)とソリドゥス金貨(os soldos=ローマ帝国の金貨)と呼ばれていました。

オランダの撤退後、1694年にポルトガル王が、当時のブラジルの首都であったバイーアに鋳造所を建設しました。翌年1695年にポルトガル人による初めての硬貨鋳造が開始され、ポルトガル本国同様にヘイス(Réis)と呼ばれるようになりました。

このヘイスは1942年にクルゼイロ(Cruzeiro)が登場するまでおよそ250年にわたり、ブラジルの通貨として流通しています。

(写真・文/唐木真吾)
写真はRicaldo Brennand博物館に展示されているブラジルで最初に鋳造された硬貨「ヘイス」。1994年、ハイパーインフレ対策のレアルプランで、クルゼイロに変わって導入されたのが現在の通貨レアル(ヘアウ、Real)

12
著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
コラムの記事一覧へ