パラナ州裁判所で大量殺人容疑の医師に無罪判決

2017年 04月 30日

ヴィルジニア・ソアーリス・ジ・ソウザ 大量殺人 医師

TVグローボが4月21日、報道番組「ジョルナウ・ナシオナウ」で伝えたところによると、パラナ州連邦裁判所は同日、7人の患者に対する殺人罪で起訴された医師に対して無罪判決を出したという。

同裁判所のダニエウ・アヴェラール判事によると、当時パラナ州クリチバ市内の福音派病院で亡くなった患者7人の死因と、同院に勤務していた医師、ヴィルジニア・ソアーリス・ヂ・ソウザ被告を結びつける決定的な証拠がなかったとのことだ。

医師は患者たちが死亡した当時、同院の集中治療室の責任者だった。

2013年に医師とその下で働く医療チームのメンバーを起訴した連邦公共省パラナ支部によると、医師は集中治療室の患者7人に対し、呼吸補助装置の酸素供給レベルを落とし、呼吸機能を麻痺させる薬剤を投下するようチームに命じたという。

裁判所判事は医師が生命を危険にさらすとして禁止されている行為を行い、患者を死に至らしめたことを示す十分な証拠がなかったため、今回の判決に至ったと述べた。

連邦公共省は上訴する構えを見せている。

「この事件は社会が裁くべきものです。病院で起こったことはとても重大な事件です。この点については私たちは絶対の信念を持っています。医師は(自分たちの措置で)患者が死ぬとわかっていたのですから」(検察官、パウロ・リマ氏)

ヴィルジニア医師は釈放の手続きに応じている。弁護士は医師の無罪を改めて主張した。

「地方医師会は調査専門チームを通じてすべての記録を調べました。その結果、彼女が集中治療の段階で取るべき措置に誤解があったという結論に至りました。集中治療室で亡くなった7人の患者は、自らがかかっていた病気によって死亡しました」(エリアス・マタール・アサヂ弁護士)

連邦公共省の告発後、クリチバ市の福音派病院はヴィルジニア・ソアーリス・ヂ・ソウザ医師を解雇した。解雇を不服とした医師は、自身が25年間働いた病院を相手取って労働訴訟を起こした。2016年、裁判所は女医の訴えを認め、病院に400万レアル(約1億3600万円)の補償金支払いを命じた。

福音派病院は労働裁判所に対し上訴の意思を示している。

(文/原田 侑、写真/Reprodução/Jornal Nacional/TV Globo)
写真はヴィルジニア・ソアーリス・ヂ・ソウザ医師、「ジョルナウ・ナシオナウ」より。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで