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プロポリスだけじゃない。ブラジルの最新養蜂事情

ブラジル 養蜂

養蜂業では通常、多種多様なハチを含む群れを一つの巣箱に集めてハチミツを取るが、群れとして扱うことで種類別の行動が見えにくくなっている。

RNFIでは1匹用の巣箱を用意し、その中に異なる誘因剤を入れ、どの種類のハチがその香りに惹かれ、どのようなミツを集めるのか調査している。今までのシミュレーションによると、従来一つの巣箱に集めていたハチの群れには異なる嗜好・行動パターンをもつ15種類のハチがいたことが判明した。

このシミュレーション結果を活用すれば、地域の植生に応じてハチを種類別に分散させ、より効率的に蜜を集めることができるようになるという。

学生たちはハチミツの生産プロセスだけでなく、ミツそのものの成分やその分析方法についても学ぶ。

「生産者にミツの質に対する理解を深め、質に応じた分別をしてもらうよう助言するには、分析方法を学ぶ必要があります」(RNFIの化学教員、ルシエーニ・ヂ・メスキータ・カルバーリョさん)

研究所があるRN州や隣接するセアラー州内陸部はカアチンガと呼ばれる半乾燥地帯で、第一次産業で身を立てていくには気象条件が厳しい地域でもある。養蜂では巣箱の周りに植物があることが前提だが、カアチンガの降雨量が少ない時は、植物が不足する。気象条件に左右されずに養蜂を続けるには、乾燥期の植物不足を補う必要がある。

このカアチンガ特有の対応として、学生たちは「巣箱のビーフ」の作り方を学ぶ。ハチに対する一種の栄養補給剤で、タマゴから抽出できるタンパク質の一種、アルブミンで作ったペーストだ。巣箱の周りに花粉や蜜が少なくなった時に巣箱に置き、ハチの食料とする。

「巣箱のビーフ」に続く栄養補給方法は現在も開発中で、RNFIの研究員、アントニオ・アブレウさんが3年前から研究を続けている。

カアチンガ気候帯にあるマルセリーノ・ヴィエイラ市ではこの6年間降雨量がかなり少ない状態だったが、RNFIの支援でハチは生き延び、今年の雨とともに養蜂業は復活した。今年の生産量は10トンで、長く干ばつに苦しんできた地域としてはかなりの生産量だという。

RNFIの開設以降、ハチに関する研究施設と豊富な専門家人材を求めて多くの企業が進出し、パウ・ドス・フェーホス市内の雇用は増大している。また、ハチミツからの収益をもとに、生産者が事業の基盤を広げることが可能となった。ミツからの収益で牛を飼い、農牧畜と両立する生産者も現れた。RNFIの存在が地域の経済的基盤を向上させているのは明らかだ。

一方、RNFIの修了生が全員養蜂の道に進むわけではない。修了後、心理学、農業工学、IT、医学など異なる分野の大学に進学する学生もいる。RNFIではこれらの分野に進むための基礎的知識が実につくということでもある。

とはいえ、修了生の大多数は地元に残り、養蜂産業に携わる。学生で養蜂家の息子、ジョアン・ヴィトールさんは言う。

「ここで学ぶ前は養蜂のことは全く知らなくて、養蜂の定義すらわかりませんでした。養蜂家になるという自覚もありませんでした。でも今は養蜂について一通りは説明できるし、養蜂の魅力に取りつかれています」(ジョアン・ヴィトールさん)

ブラジル産ハチミツのが世界的に知名度を上げてきた理由の一つとして、有機認証がついている製品が多い点が挙げられる。ミツバチの平均的な行動範囲は半径2-3キロメートルであることから、都市部・工業地域・ごみ処分施設・農薬を使用している農地などからハチの巣箱までの物理的距離の確保が有機認証の要件となる。つまり、ハチミツの有機認証においては国土の広さで有利不利が決まるとも言える。世界ですそ野を広げつつある有機ビジネスの一つとしても、ブラジルの養蜂は今後注目を集めていくものと思われる。

(文/原田 侑、写真/Reprodução/TV Globo/Globo Rural)
写真は養蜂施設。グローボ系列のアグリ情報番組「グローボ・フラウ」より。TVグローボ系列の番組はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴の問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで)

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