尺八演奏の黒田鈴尊さん、演奏のためブラジルへ

2019年 06月 7日

2019年度の「文化庁文化交流使」 に選ばれた 黒田鈴尊さん( 写真提供/文化庁、写真/Ayane Shindo )

文化庁が2019年度の「文化庁文化交流使」を発表した。

6名の交流史の中のひとりである尺八演奏の黒田鈴尊 (くろだ れいそん) さんの派遣先にブラジルが含まれている。

黒田さんは2019年5月下旬~7月下旬にかけて約2カ月にわたり、 中国、イタリア、ブラジル、フランス、ドイツ、ポルトガル で活動を行う予定だという。

黒田鈴尊さんは福島県いわき市の出身で、 幼少時からピアノを習得していたという。武満徹の「November Steps」を聴い た事がきっかけで20 歳で尺八に転向して、人間国宝・二代青木鈴慕、 三代青木鈴慕各氏に師事した。

第 2 回利根英法記念邦楽コンクールでは最優秀賞を受賞。ロンドンで開催された国際尺八コンクール 2018 で優勝している。

2016 年にはベルギーにおける国際現代音楽祭「Ars Musica」にコンチェルトのソリストとして招請され、武満徹作曲「November Steps」や、Claude Ledoux 他の新作尺八コンチェルトを世界初演したほか、ソロコンサートも開催されて好評を博したという。

2019 年には Rafael Nassif のコンチェルト東京初演や、Denis Levaillant の新作尺八コンチェルトのフランス初演な ど、尺八とオーケストラによる新たな音楽体験を世界各地で開拓している。

文化庁は2003年度より 、芸術家、文化人、研究者等、文化に携わる人々を一定期間諸外国へ派遣する「文化庁文化交流使事業」を実施しており、2018年までに、伝統音楽や舞台芸術、生活文化やポップカルチャーといった多様な分野で活躍する芸術家、文化人等、延べ137人と26組(団体)を86か国へ派遣しているという。

派遣された文化交流使は、それぞれの専門分野における実演、実技指導、講義、共同制作など、世界の人々の日本文化への理解の深化や、諸外国の芸術家・文化人などとのネットワークの形成・強化につながる活動を行うとのこと。

2019年度の 「文化庁文化交流使」 に選ばれた6名は下記のとおり。

黒田 鈴尊(くろだ れいそん)(尺八奏者)
・活動国:中国、イタリア、ブラジル、フランス、ドイツ、ポルトガル
・活動期間:約2か月(平成31年5月下旬~平成31年7月下旬)

清水 利仲(しみず としなか)(両口屋菓匠 取締役顧問)
・活動国:スペイン、フランス、ドイツ
・活動期間:約1か月(平成31年6月中旬~平成31年7月中旬)

田村 圭吾(たむら けいご)(京料理 萬重若主人,全国芽生会連合会 監事)
・活動国:ニュージーランド、エルサルバドル、ハンガリー、マケドニア、レバノン、アラブ首長国連邦
・活動期間:約1か月半(平成31年8月下旬~10月上旬)

中村 京蔵(なかむら きょうぞう)(歌舞伎俳優)
・活動国:アメリカ、キューバ、メキシコ
・活動期間:約1か月(平成31年11月上旬~12月上旬)

三谷 純(みたに じゅん)(筑波大学 教授)
・活動国:中国、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ、インド、タイ、ミャンマー、ベトナム
・活動期間:約2か月(平成31年10月下旬~12月下旬)

森 隆宏(もり たかひろ)(盆栽師)
・活動国:カナダ、アメリカ、オーストラリア、シンガポール
・活動期間:約2か月(平成31年7月中旬~9月中旬)

※敬称略、50音順

(文/麻生雅人)