お騒がせネイマール、コパブラジルは欠場へ

2019年 06月 9日

6月6日(木)、警察に出頭したネイマール(写真提供/Fernando Frazão/Agência Brasil )

ここ数年間、よくも悪くもブラジルサッカー界の話題をひとり占めしてきたネイマールが、この大事な時期にメディアやSNSなどで話題の中心になっている。

婦女暴行疑惑に晒され、今月半ばから地元ブラジルで開催されるコパアメリカを欠場するのではないかとの憶測が広まっているのだ。

先月半ばに、SNSで知り合ったモデルのナージラ・トリンダージさん(26)との、パリのホテルでのやりとりが疑惑の対象になってから、一連の騒動の模様は各局のワイドショーで取り上げられた。

ネイマールは、自分の潔白を晴らそうとしてナージラさんとのSNS上でのやり取りを公開するなど必死だったが、今度は、一般女性とのやりとりをインターネットで公開したことが問題となっている。

この騒動の中で多くのファンが行方を見守っていたのが、コパ・アメリカへのネイマールの出場だった。

罪が確定したわけではないが、婦女暴行疑惑に晒されているネイマールは精神的に安定したプレーできる状態ではな意と思われるため、コパアメリカは欠場するのではないか、というのが大方の見方だ。一方でCBF(ブラジルサッカー協会)は、ネイマールのコパアメリカへの出場を強調している。

そんな中、6月5日(水)にブラジリアでコパアメリカに先んじて、ブラジル代表とカタール代表の国際親善試合が行われた。

そして注目されていたネイマールは先発出場を果たした。ネイマールの出場については、大勢の人が驚いたことだろう。

しかしながら、神様はなんと冷酷な結末を用意したことか。

この試合、エースストライカーであるネイマールは、何度も激しいチャージを受けており、倒れるシーンも数多くあった。

そして、まだ序盤の前半14分に、相手からのチャージを交わそうとして右足首をひねってしまった。

ネイマールは、前半途中で負傷してしまい、交代を余儀なくされた。

ベンチに下がり涙を流しながら顔を両手でおさえ込んでおり、その後右足首を氷で冷やされ両肩を支えられながら会場を後にしていた姿は痛々しかった。

検査の結果、右足首靭帯の断裂で、コパアメリカには間に合わないという診断が下され、ネイマールのコパアメリカ欠場が発表された。

結局、理由は怪我ということになったが、ネイマールは、コパアメリカに出場しないことになった。

そして試合の翌日、6日(木)の夜にネイマールはリオデジャネイロ州の文民警察サーバー犯罪抑制局に出頭して、ナージラさんとのやりとりをインターネット上で公開した経緯について証言を行ったことを現地メディア「G!」などが伝えている。警察内のやり取りは不明だが、証言は1時間40分おこなわれたという。

6月6日(木)、警察に出頭したネイマール(写真提供/Fernando Frazão/Agência Brasil)

ネイマールは、本当にお騒がせな男で、賛否両論あるだろう。

ブラジル国内からも、これだけスキャンダルにまみれていれば、揶揄の対象になり、ネガティブなイメージを持つ人の方が多いかもしれない。

しかし、ブラジルでのプロデビュー時から見ている者としては、息子のような存在で、常に応援しているし、頑張ってほしいと思っている。

サッカー小僧から急にスターダムにのし上がり、世界で指折りのスーパースターになってしまったので、精神年齢が追いついていないのだろう。

少しずつは成長していっていると思うが、世間の荒波は厳しい。スターだからこそ、より自らを厳しく律していかなければならない。

今回のコパアメリカは、地元ブラジル開催であり、ネイマールの思い入れも相当に強かったことは想像に難くない。

ネイマールは、U23代表のリオ五輪では金メダルに輝いたものの、フル代表の大舞台で輝けていない。

ブラジルW杯、ロシアW杯の借りは、次のカタールW杯で晴らすしかないだろうが、期待を裏切り続けてきたブラジル国民の前で、ぜひ南米王者のタイトルを取り、セレソンの威信を取り戻したかったことだろう。

しかしネイマールにとって、その夢は絶たれた。

今回のコパアメリカで、ネイマールのプレーをぜひ見たかった。今回の結果は非常に残念である。

ネイマールの欠場が決まり、ウィリアン(チェルシー)の追加招集が決まった。

ヒシャーリソン(エバートン)、ルーカス・パケタ(ミラン)、アルトゥール(バルセロナ)といった若手も台頭してきている。

ネイマールは出場できないが、コパアメリカで、新しいセレソンがどのような戦いをするのか注目していきたい。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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