「駐妻キャリアnet」がサンパウロでチャリティーパーティーを開催

2019年 06月 10日

イベントでは、北東部の内陸の人々の生活がビデオで紹介された(写真提供/駐妻net)

ブラジルのサンパウロにて立ち上げられた「駐妻キャリアnet」が今年(2019年)3月、ノルデスチ(北東部)内陸部などで貧困状態にある人々の生活支援を行うNGO団体「Amigos do Bem(アミーゴス・ド・ベン)」の活動を紹介して、支援活動への参画を考えるチャリティイベントを開催した。

チャリティイベントの参加者 (写真提供/駐妻net)

駐妻キャリアnetは、2017年7月にサンパウロ在住の駐在員に帯同している女性(駐妻)の有志により立ち上げられた団体で、現在は、ブラジルにとどまらず全世界に350名以上の会員が参加するFacebook上のコミュニティだ。

セミナーやオフ会の情報、企業からの求人、新しいキャリアの形成を後押しするためのインタビューなど、女性が、どのような状況でもしなやかにキャリアを形成していけるよう応援し、共に成長していくためのさまざまなコンテンツを発信している。リアルの場でも、国や地域ごとにさまざまな活動を行っている。

ブラジルでは、2018年11月28日に、JETROサンパウロ事務局から紹介を受けたFator法律事務所の協力のもと、駐妻が働く際に必要なビザや納税義務に関するセミナーを主催した。同セミナーが企画されたのは、2017年11月にブラジル労働法が74年ぶりに改正されたことを受け、駐妻キャリアnetに多くの相談が寄せられたためだ。

法制度の整備が不透明且つ曖昧なブラジルにおいて、駐妻が働くにあたり必要な取得ビザの種類や納税義務は、各企業や個人の立場によって異なる。一概には働けるか働けないかを判断することが難しいという実状から、働くことに躊躇してしまうという悩みが多く寄せられたのだ。

会場となったのは、ワイン文化のハブを目指してサンパウロで運営されているイベントスペース(写真提供/駐妻net)

このようにキャリアに悩む駐妻たちに向けた情報発信やサポート活動を行なっている駐妻キャリアnetが3月13日、「駐妻や起業家がスキルシェアリングしながら協力することで駐在国に少しでも貢献すること」を目的に、サンパウロでチャリティーパーティーを主催した。

当日は約60名の参加者が来場し、ブラジル人起業家によるワインのテイスティングや食品販売、駐妻やブラジルに永住している日本人の妻らによる音楽の生演奏を楽しみながら、NGO団体「アミーゴス・ド・ベン」についての理解を深めた。


アミーゴス・ド・ベンは、ブラジルにおける照明市場最大の企業FLCの創業者としても知られる女性企業家アウシオーニ・アウバネッシさんが、友人など自身のネットワークを通じて、干ばつなどに苦しむ北東部内陸部の貧困家庭を支援しているNGO団体。地域の開発、教育や住民の社会参加の促進など自立型プロジェクト通じて、飢餓や貧困を根絶することを目指している。

アミーゴス・ド・ベンの25周年パーティ。中央が アウシオーニ・アウバネッシさん (写真/Reprodução/Facebook)

このイベントは、駐妻netの金村彩香代表の「駐妻キャリアnetが閉ざされたコミュニティではなく、世界の人々から刺激を受けながら共に成長するコミュニティでありたい」という想いから生まれた。

「9000名以上のボランティアを有するアミーゴス・ド・ベンの25周年パーティーに参加した際、働きたいけれども働けない駐妻、スキルをどのように活かせば良いのか模索している駐妻、駐在国についてより深く学びたいという知的好奇心が旺盛な駐妻にこそ、アミーゴス・ド・ベンを紹介する意味があるのではないかと感じたのが今回のチャリティーパーティーを開催するきっかけでした」(金村彩香代表)

アミーゴス・ド・ベンのスタッフと 駐妻netの金村彩香代表 (左から2番目)(写真提供/駐妻net)

今回のチャリティーパーティーを踏まえ、今後、ブラジルの駐妻キャリアnetでは、サンパウロにあるアミーゴス・ド・ベンのボランティアセンターを見学するスタディーツアーの企画を行う予定だ。

詳細な情報や会員同士の交流を希望される方は、駐妻キャリアnet(http://chuzuma-career.hatenablog.com/about)まで。

(文/上原寛子)