10月31日はブラジルでは「サッシ・ペレレーの日」
2019年 10月 31日
アメリカ合衆国ほどハロウィンが定着した行事となっていないブラジルでは、10月31日(木)は「魔女の日」と呼ばれている。
また、ブラジルの民間伝承に登場する空想上のキャラクター、サッシ・ペレレーにちなんで「サッシの日」にもなっており、ブラジル各地でサッシ・ペレレーに関する文化イベントなどが行われる。
妖精のような存在であるサッシ・ペレレーは、片足の黒人の少年で、いつも赤い帽子をかぶって、パイプをくわえているのが特徴。小さな竜巻の中から現われ、消えるといわれている。
国民的に親しまれているこのキャラクターは、ブラジルの児童文学作家モンテイロ・ロバートに代表作でもある物語「黄色いキツツキの農園」シリーズの一遍「いたずら妖怪 サッシ~密林の大冒険」(子どもの未来社)にも登場する。
「黄色いキツツキの農園」は、テレビでも長年にわたって、実写版の子ども向け番組が放送されている。
第32回東京国際映画祭で10月30日(水)に行われた「ヤング・フィルムメイカーズ・フォーラム」のために来日して登壇したブラジルの俳優ファブリシオ・ボリヴェイラは、2007年に放送された「黄色いキツツキの農園」第7シリーズでサッシを演じている。フォーラム終了後、サッシの日についてファブリシオ・ボリヴェイラに語ってもらった。
「ブラジルの“サッシの日”は残念ながら浸透はしていません。お年を召した方の中には覚えている方も多いとは思いますが。サッシの存在も、近年は残念な描かれ方をすることがあります」
中には、まるでホラー映画のような作りでサッシを扱った作品もあるという。
「これはブラジルの奥地の文化や伝統にリスペクトが払われていませんでした。歴史の中にあるたいせつなものを置き去りにして、外からきたものをどんどん受け入れているようですね」
その反対に、モンテイロ・ロバートが描くサッシは重要だとファブリシオは語った。
「モンテイロ・ロバートは、作品の中で肌の色が黒い人を差別しません。危険な存在にも、滑稽な存在にもしません。サッシ・ペレレーという存在から、多くのことを学ぶことができるのです。ぜひ、“サッシの日”を忘れないでください」
(文/麻生雅人)