【コラム】サンフランシスコ河中流域における灌漑農業の発展
2019年 12月 17日
7: 旱魃の影響で台頭した 風力発電
世界最大の滝(イグアスの滝)と世界最大の河(アマゾン河)を擁するブラ ジルでは電力供給の61%を水力発電によって賄っている。従って、“ブラジル =水力発電大国”という考えは、ブラジ ル全体で見れば正しい。
しかし、東北伯に限って言えばこれは誤った認識である。
今や東北伯の電力は実に51%が風力発電により賄われており、水力発電の割合は14%に過ぎない。
ブラジルの風力発電は近年目覚ましい成長を遂げている。2010年の発電量は 0.9GW でしかなかったのが、2017年には 12GW (13.8 倍)、2020年までに 17GW(18.6 倍)に成長する見込みだ。
風力発電所の80%は東北伯地域にある。地理的に東北伯は他の地域に比べて大西洋からの風が安定的に吹く地域であるという。また、風向きが一定で突風が少ないという、風力発電に適した条件を備えている。
干ば つによるソブラジーニョ人造湖の貯水率 の低下により、水力発電に依存できなくなったことが引き金となって、代替エネ ルギーとしての風力発電が急速に増加した。
東北伯での風力発電の普及事例は欧 州の学会などでも世界の関心を集めてい る。「災いを転じて福となす」というが、 干ばつは水力発電に代わる再生可能エネルギーへの投資促進という思わぬ成果を 東北伯にもたらしたことになる。
(文/唐木真吾、 記事提供/「ブラジル特報」 )
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