日本で活動する外国人アスリートの新型コロナウイルス感染対策と、日本での生活の本音
2020年 04月 9日
●練習場ではどの様な感染症対策をしているのでしょうか?
レオ「毎週の様にクラブから意識を徹底する様に言われています。毎朝家で体温を測ってから練習場に向かうルールになっているのですが、ファジアーノ岡山では37度以上の熱があったらすぐには練習場に入る事は許されず、トレーナーに報告する義務があります。朝と練習後など、クラブハウスに入る時はアルコール消毒をしてから入室する事も決まりです」
パウロ「一部のスタッフは一時的に別の場所で働いていて、ビデオ通話で会議をしたりしています。クラブハウス内にいるメンバーでも、選手側とフロント側で仕切りを作られていて、そこから先へ行く事は許されていません。仮にクラブ内に感染者が出た場合でも濃厚接触者が最小限になる様な工夫がされています。また、選手とスタッフは全員、毎日の行動記録も残していますので、万が一の時の感染経路の分析や対策も出来る様にしています」
●Jリーグの試合が延期になった事についてどう感じていますか?
レオ「(延期に)賛成です。健康第一なので、対策が無かった状況ではまず延期すべきだったと思います。選手は毎日の体調を医療関係者が管理していますし、試合中の接触者も限定的です。それでも100%安全ではないですが、より心配なのはサポーターです」
パウロ「Jリーグとしてもアルコール消毒やサーモグラフィーなどの設備を導入したり、入場者数を限定的にして席を離して座らせるなど様々な計画があるみたいなので、最低でもそれが整うのを待った判断は正しかったと思います。場合によっては無観客の可能性もあるみたいですが、まずは対策を練る時間を作った事は良かったと思います。その後どうするかは状況を見ながら最善の選択をしていく事になります」
●東京オリンピック・パラリンピックの延期については?
レオ「私は東京オリンピックには出ませんが、やはり世界中から渡航者が来るので危険度は増してしまいますので、1年間の延期には賛成です」
パウロ「東京オリンピック・パラリンピックだと規模が大きいので、観客数や国際的移動を考えても感染拡大のリスクは高まってしまいます。アスリートにしても選手村で共同生活をするのであれば、たった1人の感染した選手が出ただけでも感染が広まる危険性は無視できないですよね」
●選手間での感染が拡大した場合、選手の健康面の問題は勿論、競技の公平性や有力選手が出場しない事による興行的観点でも、オリンピック・パラリンピックの魅力は半減してしまいます。
レオ「私はサポーターとの触れ合いも非常に大切にしているのですが、現在の状態では難しいのが現実です。現状では直接の会話は出来ませんが、SNSによる交流に力を入れている選手やクラブもあるみたいですね。ファジアーノ岡山でもSNSやオンラインでのイベントを計画しているそうです」
パウロ「私達の通訳が、ポルトガル語通訳なのにSNSマーケティングにもやたら詳しいので、色々考えているみたいです」
●試合がない今だからこそ、スポーツの新しい面白さの発見や取り組み、社会的価値の創出にチャレンジしていく必要があると思います。スポーツ選手として社会に貢献する意味で、何か我々に伝えたい事はありますか?
パウロ「他国では油断や楽観視していた事が引き金で感染拡大を起こしてしまいました。でも新型コロナウイルスは我々が思うよりも危険度が高い事が、海外の事例から分かってきています。自分は大丈夫でも親など大切な人を亡くして悲しむ声も聞こえてきています。日本に住む我々も今一度気を引き締めていきましょう」
●ありがとうございました。
(文/佐藤相太)