アサイーを使った、新型コロナウイルス感染症の重症化改善効果の実証実験開始へ

2021年 01月 7日

マイケル・ファルコ教授(左)とアナ・アンドレアザ准教授(右)(写真提供/株式会社フルッタフルッタ)

現在、カナダのトロント大学で進められている、アマゾン産の果実アサイーを使った新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の患者に対するNLRP3誘発性炎症の重症化を改善する効果の臨床研究において、株式会社フルッタフルッタが扱うアサイーを原料に用いた実証実験が、2021年1月25日より開始される。

トロント大学では2020年5月から、マイケル・ファルコ教授(Dr.Michael Farkouh /医学部研究副院長)とアナ・アンドレアザ准教授(Dr.Ana Andreazza /薬理学・毒物学および精神科)によって、抗炎症作用を持つとされているアサイーが、Covid-19患者への治療に役立つか検証する臨床研究してきた。

ブラジル・パラー州トメアスーで、生産の段階から生産者と協力し合いアサイーを輸入・販売している株式会社フルッタフルッタはこの研究に強い関心を持って着目してきたという。

「UOL」、「イストエ」などブラジルの現地メディアも、2020年9月に、アサイーが持つ抗炎症作用が、新型コロナウィルスが体内に侵入することで起こる炎症の症状を縮小させることを検証するというマイケル・ファルコ教授とアナ・アンドレアザ教授による研究について報じている。

報道によると、両教授はすでに5年かけてアサイーを研究しており、アサイーに抗炎症作用があることは判明しているという。そして現在、次のフェーズとしてCovid-19への治療が検証されているとのこと。

この実験により2020年9月の時点で、カナダとブラジルで580名のCovid-19患者に、アサイーを使った実験薬と偽薬を投与する実験を行い、結果は良好だったという。

フルッタフルッタ社によると、Covid-19におけるこれまでの研究では、ウイルスが細胞に感染すると、細胞内のたんぱく質の複合体である NLRP3インフラマソームが活性化して炎症反応を引き起こすことが明らかになっているとのこと。アサイーの有効成分が、このNLRP3インフラマソームレベルを下げ、炎症の悪化を抑制させることが、Covid-19の治療方法として期待されているという。

現在行われている第一次臨床試験によってアサイーの抗炎症効果が認められた場合、より完成度の高い原料の安定供給が求められることから、フルッタフルッタ社が実証実験のためにアサイー原料を提供する運びとなった。今後、同社が扱う原料の有用性を実証確認の上、フルッタフルッタ社は臨床テストにおいても共同研究者として参画していく予定。

(文/麻生雅人)