サンパウロで、マナウス変異型の新型コロナウィルス感染者が3名みつかる

2021年 01月 28日

写真は1月26日、マナウス市庁舎で、ワクチン接種を訴える救急医療隊員。メッセージボードには「救急医療隊は最前線にいる、ワクチン接種を求める、あと何人死ねばいいのですか?」と書かれている(写真/Juliana Pesqueira/Amazônia Real)

サンパウロ州保健局は1月26日(火)、同州で初めてとなる、変異型ウィルスによる感染の症例が3件見つかったと公表した。現地メディア「エスタダォン」(同日付)が伝えている。

この新型ウィルスはアマゾナス州マナウス市での感染の再拡大の要因となっていると考えられているものとのこと。この変異型ウィルスがアマゾナス州外でみつかったのは今回が初めてだという。

同保健局によると、連邦政府により参照機関として指定されているアドウフォ・ルッツ研究所のラボでウィルスの遺伝子の配列により確認が行われたとのこと。

ウィルスは、陽性反応の結果を待つ3名のサンプルからみつかったとのことで、この3名は、マナウスへの訪問歴、または滞在歴のあるという。

サンパウロ大学(USP)とフィオクルスアマゾナスの研究者が行った研究によると、P.1(descendent of B.1.1.28)と名付けられたこの新型コロナウィルスの変異株は2020年12月にマナウス市に出現し、同市で急速に拡大したという。

ブラジル国内で猛威を振るったB.1.1.28から派生したと考えられているP.1は、スパイクタンパクに大きな変異があり、ウィルスがヒト細胞に侵入するのを容易に可能にするという。また、英国と南アフリカで特定された変異体と同様にN501Yと呼ばれる変異があることから、より大きな伝達力を持っている可能性があるという。

保健局は「この変異株は従来のウィルスに比べ感染力が高い可能性はありますが、これまで特定されている他の変異体と比べ毒性の違いがあるかどうかの科学的根拠はありません」とコメントしている。

P.1はすでにブラジル国外にも広がっており、アメリカ科学振興協会 (AAAS)が発行する「サイエンス」(1月15日付)によると、ブラジルから日本への帰国者から見つかった変異株も、後にP.1と判明したとのこと。1月25日にはアメリカ合衆国のミネソタ州保健局が、米国内で初めて見つかったことを報告している。

(文/麻生雅人)