【RIZIN.29】アラン・“ヒロ”・ヤマニハ: インタビュー。倉本一真との対戦は“勘違い”で決まったカードだった!?

2021年 06月 22日

3月26日に行われた「RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント」1st ROUNDの組み合わせ抽選会にて。アラン“ヒロ”ヤマニハ選手(右)と倉本一真選手(左)(撮影/Viviane Yoshimi)

RIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント 1st ROUNDが開幕した。

6月27日に丸善インテックスアリーナ大阪にて予定されている「RIZIN.29」では、ブラジル・サンパウロ出身のヒロ・ヤマニハが参戦する。

今回、倉本一真と対戦するヒロ・ヤマニハは、マルコス・ヨシオ・ソウザ、ホベルト・サトシ・ソウザ、クレベル・コイケに続くボンサイ柔術第4の刺客。柔術黒帯を持ちながらも2010年にMMAデビューし、すでにMMAのキャリアは10年を超え、現在はパンクラスバンタム級1位。RIZIN JAPAN GP2021 バンタム級トーナメント制覇も狙っている。

トーナメントの組み合わせ抽選は、今年3月に、通称「RIZINディスティニー」システムで行われた。

この抽選方式では、参加選手はまず、RIZINの出場回数が多い順(同回数の場合は五十音順)でディスティニーBOX内の封筒を選び、封筒の中には1~16の数字が書かれた紙が入っている。

一方、組み合わせ抽選会場のステージ上には、A~Pのアルファベットのボードが掲げられ、各アルファベットの下に椅子が用意されている。

選手たちは、封筒の中の紙に書かれた数字の順に任意でアルファベットを選び、そのアルファベットのボード前の椅子に座っていく。

対戦カードはアルファベットの並び順でが決定するため(A×B、C×D、E×F、G×H、I×J、K×L…)、先にCの椅子に座っている選手がいた場合、Dの椅子に座ればCの選手と対戦することができる。対戦相手を運に任せたければ、隣が空いている椅子に座ればよいということになる。

9番の数字を引いたヤマニハは、先にKを選んでいた倉本の隣のLを選んだ。

試合を控えGP制覇に向けトレーニングを積んでいるヤマニハに独占インタビューした。

――GPの組み合わせ抽選会で、倉本選手を選んだ理由を教えてください。

「正直いうと、対戦相手が決まっていない席に座ったつもりだったんです(笑)。後から誰かが私の右側に座るんだろうと思っていましたから、実際に左側に誰が座っているか意識していなかったんです。そうしたら、みんなが私たちを驚いて見たので、初めてクラモトの横に自分が座ったことに気づいたのです。思わず彼に『わたしがここに座ったってことは、あなたに挑戦したってこと?』と尋ねてしまいました。もちろん彼はイエスと答えたんだけど、それまで、気づいていなかったんです(笑)。でも、わたしたちは良い試合をするつもりです」

――RIZINへの初参戦には、どのような思いがありますか?

「わたしはずっと、PRIDEの大ファンでした。RIZINに参戦することは、まるで、私がプロのファイターとして戦い始める前から夢だったPRIDEで戦うようなものです。だから、そこに足を踏み入れて、わたしの仕事を見せること、つまり、最高のMMAイベントに出ることは、わたしの夢が叶うことなんです」

――バンタム級GPへの思いを聞かせてください。

「このGPは日本最高峰のGPです。それぞれのファイターには特徴があります。だからわたしは、各選手の特徴を研究しています。みんなそれぞれ、いくつかミスを犯しますが、わたしは自分の弱点を補強しようとしています。わたしは世界に衝撃を与えたいと思っています。わたしはこのGPに勝つでしょう!」

――入場曲はなんでしょうか。またその曲は長く使い続けていますか?

「ロイ・ジョーンズ・ジュニア(※ボクシングの元世界4階級制覇王者兼、ラッパー)の『Can’t be touched』を長い間使用しています。彼のボクシングのファンなので。彼の大胆さを、わたしたちのリングに呼び込みたくて。わたしとわたしの娘がかっこいいと思う曲を選んだ結果でもあります」

――MMAを始めたきっかけと、MMAをやっている理由はなんでしょうか?

「わたしはミノタウロ(アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ)とヴァンダレイ(・シウバ)と山本KID(徳郁)の全盛期に彼らのファンでした。MMAを始めたのもその影響です。あの時代の彼らの打撃はすばらしかったよね」

「そして今、わたしもMMAで戦っています。なぜなら、わたしを大いに助け、支えてくれる家族や友人にたくさんの幸せを与えたいからです。特に私の小さな娘ちゃんビクトリアの誇りになりたいです」

――ボンサイ柔術で、柔術以外に学んだことは?

「ボンサイ柔術では、武道は単なる戦いではなく、“レガシー”(受け継がれていく伝統やスピリット)であることを学びました。わたしは、先生たちのお父さんとは直接お会いしたことはないのですが、レガシーに従います。そして、ボンサイ柔術の門を叩く人たちとわたしたちは、親友になれることを学びました。さらに、我々が望む場所に到達するには忠誠を重んじることが大事であること、そしてこの挑戦をすることに計り知れない価値があることを学びました」

――ブラジルと日本で違う点は、どんなところでしょうか?

「わたしはすでに長い間ここ日本にいますが、かなり違いますね。ブラジルでは、人々はいつもお祭り気分で、大勢で集まるのが好きで、気候も、もっと暑いです。ここ日本では、人々は真剣に教育を重んじていて、皆が規律を持っています。わたしはそれをとても愛しています」

――ブラジリアン柔術の大会に出る予定はありますか?

「わたしはずっと柔術が好きでしたが、今のところわたしの足はMMAを追いかけています。だから柔術の大会に出る計画はありません。だからといって、ずっとMMAの中だけに留まっていたいと思っているわけではないです」

――パンクラスの王者ハファエル・シウバと戦ってみたいですか?

「チャンピオンの力を感じたいですね。ハファエル・シウバとわたしは友達で、わたしは彼の仕事を知っていますし、本当に彼の道のりを応援しています。だけど、わたしはわたしの栄光が欲しいですからね。そこへ足を踏み入れない限り、運命は変えられない。挑戦することで我々の運命は、そこへ辿りつくことができるでしょう」

――戦ってみたいファイターはいますか?

「わたしは自分の階級で最高のファイター達と戦いたい。ようやく“その時”が来たと確信しています。わたしは自分が戦いたいすべてのファイターと戦います」

――趣味はなんですか?

「一番大切にしているのは、家族と過ごす時間。家族とのシュハスコ料理が好きです。トランプをしたり、サッカーをしたり、娘と遊ぶために出かけたりもしています」

――夢はなんですか?

「わたしの今の夢は、このGPを制覇することです。そしてわたしの家族にもっと安定を与えること。わたしは“日本×日本の血を引くブラジル人”。両方の国に誇りを持っています」

(記事提供/Hexagon News、文/Vivane Yoshimi、構成/Mega Brasil)