クラブワールドカップ2021 南米王者パウメイラス、チェルシーに敗れ世界王者にはなれず

2022年 02月 24日
2月8日、アリアハリ(エジプト)対パウメイラス(Divulgação/Fabio Menotti/Palmeiras

今でこそ世界のサッカーはヨーロッパが主流になっているが、長らくは、南米とヨーロッパが2大勢力として覇権を競っていた。そのため、クラブワールドカップでは今もなお、南米とヨーロッパのチームが決勝まで進出して対戦するのが当たり前という風潮がまだ残っている。

にもかかわらず、前回のパウメイラスは2戦全敗とまったくいいところなく、いわば世界中に恥をさらすような結果になってしまったのだ。

チェルシーも、かつてヨーロッパ王者として2012年大会に出場しているが、決勝でブラジルのコリンチャンスに敗れ、世界王者のタイトルを獲得できなかった。

2005年にクラブワールドカップの大会が始まって以来、ヨーロッパのチームはすべて決勝に進出しているが、決勝で敗れたことは3回しかない。

2005年のリヴァプール(イングランド)、2006年のバルセロナ(スペイン)、そして2012年のチェルシー(イングランド)だ。しかし、悔しい思いをした3チームだが、リヴァプールは2019年に、バルセロナは2011年にきちんと雪辱を果たしている。今回は、チェルシーにとっても屈辱を晴らす絶好の機会である。クラブの威信をかけても負けるわけにはいかない試合だっただろう。

それぞれに思惑を抱いたパウメイラスとチェルシーが出場した今回のクラブワールドカップだったが、両チームともきちんと準決勝を勝ち上がり、決勝戦で戦うことができた。特にパウメイラスにとっては前回のこともあるので、準決勝を勝つことは最低限のノルマだった。

パウメイラスの戦術は、とてもブラジルのチームとは思えないほどの守備的なサッカーだ。ブラジルサッカー好きの人なら、おそらくパウメイラスファン以外は、正直見ていて全くおもしろくないのではないだろうか。

しかし、パウメイラスの立場からすると、サッカーの内容よりも勝たなければ意味がないのだ。どんなにつまらないと言われようと、勝つためのサッカーに徹するだろう。

準決勝の相手は、アフリカ王者のアルアハリ(エジプト)だった。奇しくも、前回大会の3位決定戦と同じカードとなった。前回は0-0でPK戦の末アルアハリが勝っている。

今大会、パウメイラスにとっての初戦となった準決勝では、2-0で勝ち、決勝戦への進出を決めた。パウメイラスとしてはまずは胸をなでおろしたことだろう。

パウメイラスは前半のうちにゴールを奪え、後半早々に2点目を取り、かなり楽になったと思うのだが、後半は、アルアハリの猛攻にいつゴールを奪われても不思議ではない展開だった。

そして、決勝戦は2月12日(土)20:30(日本時間 深夜1:30)からUAEのアブダビで行われた。

ヨーロッパ王者 チェルシーとしても、南米王者 パウメイラスにとっても、勝てば初めての世界王者のタイトルを獲得することとなる。

それにしても、今大会は因縁が多い。

(次ページへつづく)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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