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ブラジルには、外資系企業の市場戦略から生まれた、“カクテル”と言う名のカクテルがある!?

著名バーテンダー、ジャン・ポンシによるハーボ・ジ・ガーロ(写真/Divulgação

ブラジルの国民酒カシャッサは、有名なカイピリーニャだけでなくさまざまなカクテルのベースとしても親しまれています。

Rabo de Galo ハーボ・ジ・ガーロと言うカクテルもそんな中のひとつで、主にサンパウロで親しまれているカクテルです。 カシャッサを使ったカクテルではクラシックの部類に入ります。まずはレシピを紹介しましょう。

クラシックスタイルは非常に簡単なレシピになります。

<材料>
カシャッサ 35ml
ベルモット(ロッソ) 15ml(チンザノ、マルティーニなど)
タヒチライム 1片※飾り付け用
<作り方>
ショットグラスに材料を入れて撹拌、ライムを飾って完成

ところで、このカクテルの誕生にはユニークな物語があります。

ハーボ・ジ・ガーロが誕生したのは1950年代中頃、サンパウロと言われています。サンパウロに新しい産業や雇用がどんどん生まれていた時代です。

当時、イタリアの企業チンザノがブラジルに進出して現地法人と工場をサンパウロに設立しました。 移民国家であるブラジルには、世界各国から渡ってきた移民やその子孫が多く暮らしていますが、サンパウロにはイタリア移民が数多く暮らしていたことから、さまざまなイタリア系企業が進出しています。

しかしチンザノは進出はしたものの、ブラジルにはカシャッサという国民酒が広く親しまれていたため、ブラジルで暮らすイタリア移民もまたカシャッサを消費しており、チンザノは なかなか市場に入り込むことができなかったそうです。

しかし同社は、1950年代当時カシャッサはストレートでは飲まれていても、カクテルはほとんど飲まれていないこと着目。ブラジル人が大好きなカシャッサとチンザノを混ぜたカクテルを流行らせられれば、自社製品が市場に広がると考えました。

そして開発されたレシピがハーボ・ジ・ガーロといわれています(だとすれば元祖クラックスタイルは、チンザノが使われていたことになります)。

ところでこのカクテル名は、ずばり、“カクテル”と名づけられました。

英語のCocktailという単語がCock(雄鶏)とtail(しっぽ)から成り立っていることから、これをポルトガル語にしてRabo(しっぽ=tail) de(=of) Galo(雄鶏=Cock)としたそうです。

ハーボ・ジ・ガーロはサンパウロから、やがて全国に広まっていきましたが、各地では、ご当地版が生まれていきました。ベースはあくまでカシャッサですが、合わせるお酒はベルモットのかわりにリキュール類(ウンダーベルク、フェルネットのビターなど)も使われました。

現地メディア「サンパウロ・イン・フォッコ」によると、ミナスジェライス州ではイタリアのハーブ系リキュールのチナールが使われていたそうです。

近年では、ベースのカシャッサにクラフトカシャッサを使ったアップグレード版がさまざまなバーで生まれています。

(文/カシャッサ麻生、写真/divulgação)

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