「ブラジル田舎っぺ祭り2023」、6月25日(日)‎に開催。愛の伝説のお菓子から先住民が伝えたお菓子まで、フェスタジュニーナならではの食べものも充実!

2023年 06月 14日

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写真は2022年のブラジル田舎っぺ祭り(撮影/麻生雅人)

日本とブラジルをつなぐ国際交流団体KIMOBIG(キモビッグ)が主催する“フェスタジュニーナ(6月祭り)”「ブラジル田舎っぺ祭り」が今年も開催される。

2022年より開場を品川区の「CAFE&HALL ours」に移転して開催されているが、今年はエリアを拡大して、JR大崎駅南口デッキでブラジル・マーケットを開催、小関橋公園で蚤の市会場や飲食スペースが設置され、「CAFE&HALL ours」でフードやドリンクの販売、各種イベントが行われる。

6月13日(聖アントニオ)、6月24日(聖ジョアン)、6月29日(聖ペドロ)と、3人の聖人の記念日が集中することから、6月を通じてブラジル各地で祝われるフェスタジュニーナ(6月祭り)。3聖人のひとり聖ジョアンの名で“サンジョアン祭り”とも呼ばれる。特に北部~北東部では盛大に行われ、地域によっては2~3月に行われるカーニバルよりも盛り上がる。

先住民がこの時期に行っていた祭りと、ヨーロッパ各地から伝わった祭り、アフリカ文化が融合してブラジル独特の祭りとして発展したフェスタジュニーナの期間には、“フォゲイラ”と呼ばれる焚火や“クアドリーリャ”と呼ばれる結婚式を模したダンスなど、名物ともいえる習慣や行事が行われるほか、“バカマルチ”と呼ばれる鉄砲隊による祝砲行事、“ブンバ・メウ・ボイ”や“ボイ・ブンバ”などの歌劇行事など、地域によって異なる出し物も名物となっている。

「ブラジル田舎っぺ祭り」でも2019年より、クアドリーリャが行われている。

お馴染みとなったブラジルマーケットでは、ビオジュエリー、ランジェリー、アクセサリー、Tシャツ、コスメなどのアイテムから、CD、食品まで幅広いアイテムが販売されるほか、古着、小物、土産品などを集めた「ブラジル蚤の市」も開催される。

フードメニューは、今年大きく拡大される。都内はもとより、群馬や栃木などからもブラジルの料理やお酒の14の専門店が出店。東京では出会う機会が少ないブラジルの味や、この日のためのオリジナルメニューなどを紹介する。

なんといっても、目玉はフェスタジュニーナに欠かせない、トウモロコシを使った料理・軽食・スイーツ。フェスタジュニーナが開催される6月は南半球のブラジルでは冬季にあたり、その時期に収穫されるトウモロコシを使った食べものがふるまわれることが多い。

すりつぶしたトウモロコシから作られる「パモーニャ」はさまざな形態があるが、最もポピュラーなのは、トウモロコシの葉でくるんである“ちまき”風の「パモーニャ」。味は塩味もあれば甘口もある。フェスタジュニーナの時期には、「ボーロ・ジ・パモーニャ」や「プヂン・ジ・パモーニャ」などのお菓子系パモーニャも人気だ。「ブラジル田舎っぺ祭り」ではココナッツミルクとコンデンスミルクを使ったスイーツの「パモーニャ」が用意される。

北部や北東部で知られる「ムングンザー」は、「カンジッカ・ブランカ」「カンジッカ」や「ミンガウ・ジ・ミーリョ」の名でも知られる、トウモロコシを使ったお粥またはクリーム状の食べもの。主に白いトウモロコシが使われる。ココナッツミルクを使った甘いものからお肉類などを入れた塩味までさまざまなタイプががある。昨年と同様に今年も、お肉やリングイッサも入った「ムングンザー・サウガード」が登場

北東部で「カンジッカ」の名で知られる「クラウ」または「ジンベレー」もフェスタジュニーナでおなじみの食べもの。こちらもココナッツミルクを使った甘いものからお肉類などを入れた塩味までさまざまなタイプががある。「ブラジル田舎っぺ祭り」ではプリンスタイルの「クラウ」が用意されている。

これらのトウモロコシ由来の食べものは先住民の食文化がルーツにあり、ブラジルの土着的な食べものだと考えられているが、カンジッカなどにはアフリカ由来説もある。

もちろんその他にも、タピオカ、ブラジル・プヂン、エスフィーハ、エンパジーニャなど、おなじみのブラジルの軽食もずらりと並ぶ。

加えて、アマゾン地方で親しまれているスイーツが楽しめるのも「ブラジル田舎っぺ祭り」ならではの楽しみ。ロマンチックな愛の物語と共に生まれたパラー州ベレンに伝わるビスケット菓子「モンテイロ・ロペス」に東京で出会えるのは、このお祭りくらいではなかろうか。

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(画像/Reprodução/Instagram-monteirolopesrosalima)

このお菓子のベレンに伝わるお話はこうだ。かつて、ベレンの市民の台所ヴェロペーゾ市場の近くに、マノエウ・モンテイロとアントニオ・ロペスというライバル同士のお菓子職人のお店があった。一方はチョコレートのお菓子を、一方は白いお菓子を売っていた。しかし彼らの子どもたちは愛し合い、結婚をすることに。そこでお互いの店の対立をなくし、お菓子を半分づつミックスさせて、互いの親の名も合体させて「モンテイロ・ロペス」と名付けて売った、と伝えられている。

フェスタジュニーナの聖人の一人聖アントニオは、結婚の聖人としても知られている(聖アントニオの記念日である6月13日のイヴにあたる6月12日は、ブラジルでは「恋人の日」として知られている)。また、もともと収穫祭が源流にあるフェスタジュニーナでは、「クアドリーリャ」が行われるなど、結婚や子孫繁栄を祈るお祭りという側面もある。あくまで諸説ある伝承の一つではあるが(このお菓子の発祥地や誕生の正確な記録はみつかっていない)、愛の物語を持つ「モンテイロ・ロペス」もまた、フェスタジュニーナにぴったりな食べ物といえるかもしれない。

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(画像提供/KIMOBIG)

イベント概要
2023 年 6 月 25 日(日) 12:00-20:00 入場無料/雨天決行
場所:CAFE&HALL ours 東京都品川区北品川 5-7-2(大崎駅 南改札•新東口より徒歩 5 分
※今年は大崎駅南改札を出たらすぐマーケット、ロータリーを降り、目黒川を渡ったら公園で蚤の市や飲食スペース、ours でフードとライブのイメージです。
マーケットエリア:大崎駅南改札口デッキ
蚤の市&飲食スペース:小関橋公園(ours 前)
フード&ミュージックエリア:CAFE & HALL ours

共催:KIMOBIG BRASIL、CAFE&HALL ours
協力:一般社団法人大崎エリアマネージメント、Beijo me liga、FRUE
後援:駐日ブラジル連邦共和国大使館、在東京ブラジル連邦共和国総領事館、
品川区

詳細はブラジル田舎っぺ祭り2023 特設サイトを参照。

(文/麻生雅人)