清水エスパルスMF松岡大起、ブラジル2部グレミオ・ノヴォリゾンチーノへ移籍

2023年 03月 29日

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松岡大起選手のユニフォーム(撮影/コウトク)

現在、世界のサッカーシーンは完全にと言ってもいいほどヨーロッパが中心となっている。世界中のサッカー選手がヨーロッパのクラブでプレーすることを目指していると言っても過言ではないだろう。

それは日本のサッカー選手にとっても同じであり、多くの選手が目指す場所はヨーロッパの一流クラブである。現在の日本代表のメンバーをみても、ほとんどがヨーロッパのクラブに所属している。

そんな中、清水エスパルスの主力選手である松岡大起がブラジルのクラブへ移籍した。移籍期間は2023年3月22日~11月30日の期限付き移籍となる。

実は筆者は、日本のJリーグでは清水エスパルスのファンであり、今季久しぶりにユニフォームを買った。背番号8の松岡のユニフォームだった。

松岡はヨーロッパの移籍市場が締まる1月末まで海外移籍を目指していたが、海外移籍できず清水エスパルスに残留することが決まった。Jリーグのシーズンが始まった2月からはそのまま清水エスパルスでプレーしていた。

大人しい選手が多いと言われる清水エスパルスにおいて、闘志を全面に出す松岡のプレーは見ている者の心にとても響く。私はそんな松岡のプレーが大好きだ。

数年ぶりにユニフォームを買い応援しようと力が入っていただけに、この海外移籍のニュースにはとても驚いた。しかし、それが私にとっても馴染みの深いブラジルということで嬉しさも感じた。

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松岡大起選手のユニフォーム(撮影/コウトク)

グレミオ・ノヴォリゾンチーノというチームは2001年に創設された。アマチュアクラブからスタートしており、2012年からサンパウロ州の大会に出場している。現在(2023年シーズン)は、サンパウロ州選手権2部(セリエA2)、ブラジル全国選手権2部(セリエB)にカテゴライズされている。チームカラーは黄色と黒で、マスコットはチグリ(虎)だ。

ブラジルのサッカーリーグは、年間で1月~4月までの州選手権と4月~12月上旬までの全国選手権の大きく2つが行われる。

松岡は契約の関係でサンパウロ州選手権には出場できないようだが、4月に始まる全国選手権に出場することになる。

ホームタウンのノーヴォ・オリゾンチは、サンパウロ州の地方都市である。州都サンパウロから北西に約400キロ離れており、車で5時間ほどかかる。人口は約41,000人の地方都市である。

チームの公式動画「TVノヴォリゾンチーノ」では、松岡がホームスタジアムに到着し会見の様子を紹介していた。地元サポーターからの歓迎はとても熱烈なものだった。ブラジル人らしく太鼓を鳴らしながら「マツオ―カ! マツオ―カ!」と連呼していた。こんな歓迎を受けたら誰でも感動し、全力で頑張ろうと思うだろう。

会見では、ポルトガル語での挨拶から始まり、温かく迎えられたことへの感謝を述べブラジルでの決意を熱い思いで語っていた。

今シーズンのブラジル全国選手権2部(セリエB)には、スポルチ、ヴィトーリア、アヴァイ、セアラーといった1部(セリエA)の常連クラブや、2016年の飛行機事故で多くの選手が犠牲となったシャペコエンセが属しており、これらのチームを相手に戦うこととなる。

昨シーズンは、全国選手権2部で16位とぎりぎりの順位で残留しており、チームが今季にかける思いも強いことだろう。ほとんど格上のクラブと対戦することになるが、持ち前の闘志を前面に出して、松岡らしく強い気持ちでプレーしてほしいと思う。

ブラジルという異国での新生活、それも、日本での馴染みが薄い地方都市なので、ヨーロッパの多くの国の都市に比べる苦労も少なくないかもしれない。それでも自分を成長させるため、未知の環境に飛び込む決意した松岡の気持ちに敬意を払いたい。

約8か月間という限られた期間の期限付き移籍ではあるが、サッカーはもちろんのこと、人間としても必ず成長することだろう。

そして、その先には、一回りも二回りも成長してエスパルスに帰ってきてほしいとも思うし、ブラジル1部(セリエA)のクラブにステップアップしてカズ(三浦知良)選手のようにブラジルの地で活躍してほしいとも思う。そして日本代表として、はばたいてほしい。

ブラジルでたくましく成長することを願い、松岡の新たな挑戦を心から応援していきたいと思う。

(文/コウトク)

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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