高倉健さん、死去

2014年 11月 18日

高倉健 死去

11月18日(火)、俳優の高倉健さんが悪性リンパ腫のため、10日に東京都内の病院で死去したとロイターが伝えった。83歳だった。

高倉健さんは1931年2月16日、福岡県出身。1950年代中ごろに東映ニューフェイス第二期生として東映に入社、アクション映画、刑事もの、青春映画などに出演。1960年代には「網走番外地」シリーズをはじめ任侠映画で一世を風靡した。

任侠映画が廃れた後、1970年代に入ってからは「ゴルゴ13」(1973)、「大脱獄」(1975)、「新幹線大爆破」(1975)などのアクション映画、社会派サスペンス作品などで圧倒的な存在感を見せつけた。

1976年に東映を退社して以降、「八甲田山」(1977・橋本プロ/東宝/シナノ企画)、「幸福の黄色いハンカチ 」(1977・松竹)、「野性の証明」(1978・角川春樹事務所)、「冬の華」(1978・東映)、「駅 STATION」(1981・東宝)、「海峡」(1982・東宝)、「刑事物語」 (1982・キネマ旬報)、「居酒屋兆治」(1982・東宝/田中プロ)、「南極物語」(1983・フジテレビジョン/学習研究社/蔵原プロダクション)、「夜叉」(1985・東宝)、「ブラックレイン」(1989・パラマウント)、「忠臣蔵 四十七人の刺客」(1994・東宝/日本テレビ放送網/サントリー)、「鉄道員(ぽっぽや)」 (1999・「鉄道員」製作委員会)などに出演。

半世紀以上にわたって第一線で、日本を代表する映画俳優として活躍した。2013年には文化勲章を受章している。

「ひばりの花形探偵合戦」(1958)では、探偵・三田村英次に扮した。ブラジルでコーヒー王として成功した男から、日本に残してきた娘・京子を探し出すように依頼された女探偵(美空ひばり)と張り合って娘を探すライバル探偵役だった。

代表作のひとつとして名高い「新幹線大爆破」(監督・佐藤純弥)は、「タワーリング・インフェルノ」などのパニック映画を意識して制作された和製パニック映画大作といわれているが、犯行グループの主犯・沖田哲男を健さんが演じたことで、作品に圧倒的な重厚感と哀愁を漂わせることとなった。

犯行に取り組むことになった3人組の間で、犯行を成功させた後に何がしたいかが会話に出てきたときの「ブラジルへでも行くかな」という沖田の答えには、金銭が最終的な目的ではないことが示唆されていた。

「冬の華」(監督・降旗康男)では、14年前に組を裏切ったこ兄貴分を刺して服役していた秀というやくざ者を演じた。秀は、自身が殺した兄貴分の忘れ形見である、当時少女だった娘に「ブラジルにいる叔父」と名乗り、養育費を払い続けていた。

(文/麻生雅人)
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