わたしがサンバを踊る理由(わけ)第三回サンバには衣裳も大切

2014年 12月 17日

工藤めぐみ 衣裳

さて、私は11月末に日本を出発して、またまたリオデジャネイロに修行に来ていますが、今回は出発に向けての準備のお話を。

今年もまた名門サウゲイロのオーディションを受けるための修業なので、とにかく荷物が恐ろしい程の量になってしまいます。

サンバダンサーの方は分かると思いますが、羽根のついたお衣装を1セット移動させるだけで、お手頃なスーツケースひとつと、大きな羽根袋が必要になります。

衣裳はひとつというわけにはいかないので、それを2セットと、さらに練習着に大量のパゴージ衣装も必要...となれば、サウゲイロに必要なものだけで私のスーツケースの中はパンパンです。いつも、日本の美味しい食材とお衣装とを天秤にかけて、泣く泣く食材をあきらめる感じです(笑)。

2008年に初めてサウゲイロに行った時は、練習着やパゴージショー等にはそこまで気合いの入ったお衣装は求められていませんでした。しかし、今のサウゲイロはそうはいきません。

ショーの間も早着替えで、1曲踊ったら控室に猛ダッシュ!! 急いで他の衣装に早着替えをして次の曲、といった感じで次々と新しいお衣装を求められます。メインで出演しているパシスタの子なんて、2、3度着たらもう着ない...くらいの頻度でどんどん新しいお衣装を作っていっています。

しかもこれがまたビックリする程スワロフスキーがちりばめられて、石の重さを感じる程のクオリティーのお衣装! さすがブラジル、サンバ衣装専門のアトリエがあったりして、みんなオーダーで作ってもらっています。ただ、これが高い~!! サウゲイロのパシスタの子はお金がない子が多いけど、生活費の大半をサンバに投資している感じです。

工藤めぐみ 衣裳

そうそう!  私がいつもショーで着ているこのお衣装は、全て私の母の手作り!! パシスタの仲間にも毎回「私のお衣装もMEGUMIのお母さんに作ってもらいたい」と言われる程です。

しかし、母は服飾やデザインに関して専門的に勉強したことはありまあせん。若いころはソフトボールのピッチャーをしていて、現在は介護職をしている母はこれまで全くそういった世界に関係なく生きてきたのに(笑)、サンバを初めてから色々とお衣装作りに試行錯誤で挑戦して、デザインから針金作業までを手掛けるまでに。我が母親ながら、出来あがったお衣装は本当にすごいと思います。お仕事しながら年中お衣装制作している感じですね。

工藤めぐみ 衣裳

11月はまさに追い込みの季節。今年は可愛いトルソーもGETしてサウゲイロ・カラーのお衣装を出発に向けて制作してくれました。

生地もブラジルで買ったものや日本で買ったものの中からデザインに合うものを選んで、パーツごとに1から作っています。

もちろん、このお衣装があるからといって無事にサウゲイロのパシスタとして踊れるかどうかは、オーディションを受けてみなければわかりません。でも、少なくとも準備を周到に行うことは、必須。踊り自体もとても大事ですが、サンバにとっては自分を綺麗にカッコよく見せるアイテムもまた、負けないくらい大切なのです。

(写真・文/工藤めぐみ)

著者紹介

工藤めぐみ Megumi Kudo

工藤めぐみ Megumi Kudo
9歳よりクラシックバレエを基礎にサンバを始める。
2008年にリオデジャネイロの名門エスコーラ・ジ・サンバ「サウゲイロ」のパシスタのオーディションに合格。
2009年~2011年、2013年~2014年に同団体のパシスタとして、リオのカーニバルに出場している。「サウゲイロ」の選抜メンバーによるサンバショーのメンバーでも、唯一の日本人として参加している。
帰国中は、プロフェッショナルのダンサー(SMAPドームツアー、山下智久コンサートのサンババックダンサーなど)や、ダンスインストラクターとして活躍。神戸にてダンス教室「MEGUサンバダンス」を主催するほか、地元のサンバチーム「Feijão Preto(フェジョン・プレット)」のダンサーリーダーも務める。神戸まつり、浅草サンバカーニバルをはじめ全国のサンバ関連イベントでも活躍。

「Feijão Preto(フェジョン・プレット)」http://www.feijaopreto.net/

「MEGUサンバダンス」http://www.feijaopreto.net/sambadance.htm
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