「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」開催中

2015年 07月 26日

ニーマイヤー展

東京都現代美術館(MOT)では、7月18日(土)から、ブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤーの回顧展「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」を開催中だ。

同美術館にとって「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」は、2008年に開催された「ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力」以来の、ブラジル文化を紹介する大規模な展覧会だ。

ブラジルのモダニズム建築の父と呼ばれるオスカー・ニーマイヤーの代表的な建築物を写真とミニチュア模型で紹介しているほか、貴重な写真、デッザン、映像資料も公開されている。

模型の展示は、後に首都ブラジリアの建設の指揮をとるジュセリーノ・クビシェッキ大統領の依頼で1940年代前半に手掛けたミナスジェライス州ベロオリゾンチ市パンプーリャ地区の建築群(サンフランシスコ・ジ・アッシス教会カーザ・ド・バイリ(ダンスホール)など)の紹介からはじまる。

ジュセリーノ・クビシェッキ大統領がニーマイヤーをはじめ造園師ホベルト・ブルレ・マルクス、壁画家パウロ・ヴェルネッキ、画家カンヂド・ポリチナーリなどを集めて作り上げたパンプーリャ地区建築群は、同展覧会によると、「大学や宗教建築、スポーツ施設、文化施設が有機的に配置された近代的理念に基づく『新たな都市の建設』であり、新首都ブラジリア計画の原点であった」という。特にサンフランシスコ・ジ・アッシス教会はニーマイヤーにとって曲線建築の原点ともいえる建物として知られている。

他にも、国際連合本部ビル(1952、ニューヨーク、アメリカ合衆国)、ニーマイヤーの自宅で、現在は数々の映画のロケ地としてもおなじみのカノアスの邸宅(1953)、イビラプエラ公園(1954)、アウヴォラーダ宮(1957)、ブラジリア大聖堂(1970)、コンスタンティーヌ大学(1972、アルジェリア)、ニテロイ現代美術館(1996、ニテロイ)など、ニーマイヤーの代表的な建築物を紹介。資料だけでなく、ミニチュア模型で展示され、造詣が一目でわかるようになっている。

長谷川祐子氏

7月17日に行われた開会レセプションでは、東京都現代美術館の長谷川祐子チーフ・キュレイターは展示に携わった担当学芸員を紹介した後、本展示の見どころを語った。

「(展示されるもの自体)の中身ももちろんですが、どうやって観せるか、学芸員たちが大変努力をしました。人々をひとつの場所の集めていかに生きる喜びを共有するか、アートの素晴らしさといかに建築が一緒にあるか(を常に考え)、そして女性と生まれ故郷のリオと自然を愛したニーマイヤーの喜びを、この空間で共有していただけたらと思います」(長谷川祐子チーフ・キュレイター)

大使代理

駐日ブラジル大使館のアウグスト・ペスタナ臨時代理大使は、日本ブラジル外交樹立120周年にこの企画が実現したことを祝した。

「ひとつの国の本質を、このように捉えることができる建築家は非常に限られていると思います。ニーマイヤーの曲線はブラジルの国民の本質をよく表わしています。ニーマイヤーの作品に触れるということは、ブラジル人の魂の一部と、ライフスタイルを知ることになります」(アウグスト・ペスタナ臨時代理大使)

また、会場では映像資料も何点か紹介されているが、マーク・アンリ・ウォンヴァーグ監督によるドキュメンタリー「20世紀最後の巨匠 オスカー・ニーマイヤー」(60分。上映時間は10:15、11:20、12:25、13:30、14:35、15:40、16:45。金曜のみ夜間上映17:50、18:55、19:00がある)もある。

「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」
会場:東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
会期:7月18日(土)~10月12日(月・祝)
休館日:月曜日(7月20日、9月21日、10月12日は開館)と、7月21日、9月24日
観覧料:一般1100円、大学生・専門学校生・65歳以上800円、中高生600円、小学生以下無料
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html

<関連イベント>
SANAAトークイベント「We Love Niemeyer」(仮称)
スピーカー:SANAA事務所 妹島和世氏・西沢立衛氏(本展会場構成担当)、長谷川祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター)
日時:8月22日(土)15:00~17:00(終了予定)
会場:東京都現代美術館 地下2階 講堂
定員:200名。当日午前10時よりエントランスのインフォメーションカウンターにて整理券の配布を行う(一人一枚)。
申し込み:不要・ただし、当日有効の本展チケットの提示が必要。

東京都現代美術館 チーフキュレーター 長谷川祐子によるギャラリー・ツアー
日時:8月29日(土) 15:00~、9月12日(土)15:00~
会場:東京都現代美術館 企画展示室地下2階
参加費:不要 (但し、本展のチケットの提示が必要)
※企画展示室地下2階入口に集合。

展覧会、関連イベントの問い合わせは東京都現代美術館まで。電話:03-5245-4111(代表)、03-5777-8600(ハローダイヤル)。http://www.mot-art-museum.jp

(写真・文/麻生雅人)