環境および社会の再生に貢献したプロジェクトを表彰する「Lush Spring Prize」でブラジルの3つの活動が受賞
2017年 05月 27日英国発の化粧品ブランドLUSH(ラッシュ)と、同じく英国のエシカル消費者研究協会は、環境および社会の再生に貢献したプロジェクトに賞金を授与する「Lush Spring Prize(ラッシュ・スプリング・プライズ)2017」の受賞者を発表した。
発表によると、ブラジルからは3団体が受賞したという。LUSH(ラッシュ)が広報しているほか、現地メディア「グローボ・フラウ」も伝えている。
サンタカタリーナ州の非営利民間団体「コンパス研究所」は、「コンパス・アクション」というプロジェクトで「目的意識」賞(1万ポンド/約140万円)を受賞した。
同賞は、画期的なアイディアを用いた、開始1年未満の初期段階プロジェクト対象に、1万ポンド(約140万円)を最大5つのプロジェクトへ授与するというもの。賞金は、同様のプロジェクトでより段階が進んだ事例を学ぶための研修や訪問のための交通費などに使うことができる。
受賞した「コンパス・アクション・プロジェクト」(http://www.institutocompassos.com.br/)は、バイオダイナミック(ビオディナミ)農法、治癒教育、有機農業やエコ農業の専門家が協力し合い、技術や情報を必要とする、若者から大人までを訓練するというもの。
同じくサンタカタリーナ州の「こども海岸モニタリング・プロジェクト」(http://www.monitoramentomirimcosteiro.com.br/)と、サンパウロ州の「人類愛のための市民権保護協会 (ARCAH) 」(http://www.arcah.org/)は、共に「ヤング・プロジェクト」賞の短期プロジェクト部門を受賞した。
前者はこどもたちにブラジルの海岸の清掃などに参加してもらいながら、海洋生物の保護や砂浜の保全の意識を持ってもらう活動。後者は、農場におけるパーマカルチャー(パーマネント・カルチャー農業)を通して路上生活者を社会生活に戻す活動。
また、「目的意識」賞部門では世界中から提出された企画がノミネートされたが、受賞を逃したノミネート企画は116件あった。そのうちブラジルから出された企画は、主催企業の本拠がある英国(16件)の約倍にあたる30件で最多だった。この分野に関する活動や関心の高さがうかがえる。
LUSH(ラッシュ)は英国発のフレッシュハンドメイドコスメブランド。創立以来、新鮮さとオーガニックにこだわった、採れたてのフルーツや野菜、香り高いエッセンシャルオイルを使って手作りを行っているという。原材料は地産地消にこだわる。
また同社は、人・動物・環境に配慮したビジネスを展開しており、化粧品の動物実験廃止や、容器のリサイクル、ゴミゼロを目指し容器や包装を必要としない固形商品の開発するなど、ビジネスを通して社会に存在する様々な課題の解決を目指し、持続的な取り組みを推進している。
2010年より「SLush Fund(スラッシュ・ファンド)」を設立、ラッシュが原材料を購入した総額の2%を同ファンドで貯蓄している。このファンドは世界中のパーマカルチャーやコミュニティプロジェクトの支援を行い、土壌の再生や環境・生態系・人に負荷をかけない持続可能な食物の栽培、またコミュニティの経済的自立や地域の教育水準の向上など、ラッシュの商品に使用する原材料調達の域を超えた取り組みも率先して行っている。
現時点までに、33の国と地域で、84のプロジェクトを支援。現在、ラッシュは世界49ヶ国に930店舗以上、日本では約100店舗、ブラジルではサンパウロ州に5店舗を展開している。
エシカル消費者研究協会は、社会、動物福祉、環境問題について調査、出版、キャンペーンを行う英国の非営利消費者団体。
(文/麻生雅人、写真/Divulgação)
写真は「コンパス・アクション・プロジェクト」