チャンピオンズリーグ決勝で イングランド勢が対決。ブラジル人選手の活躍は?
2019年 06月 2日
チャンピオンズリーグ決勝でのイングランド勢の対決はリバプールが昨年の雪辱を果たし優勝した
6月1日(土)(日本時間2日(日)早朝)に、UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が、
マドリッド(スペイン)のエスタディオ・メトロポリターノで行われた。
決勝の舞台はアトレチコ・マドリッドのホームスタジアムだったが、バルセロナが準決勝で敗れ、今年度はスペインのチームは決勝まで進めなかった(2013~14年のシーズンから昨シーズンまで、5年連続でスペインのチームは決勝まで進んでいた)。
チャンピオンズリーグのアンセムを聴くと、心が躍る。そんな人も多いのではないだろうか。選手入場に際し、女性ヴァイオリニストの生演奏で、アンセムの美しいヴァイオリンの音色が響いていた。
対戦カードは、リバプールとトットナムのイングランドの2チーム。いずれも、約3週間前の準決勝2ndレグで奇跡的な勝利を果たし、決勝に駒を進めてきたチームだ。
スター軍団バルセロナを大逆転で下したリバプールと、記憶に新しいブラジル人ストライカー、ルーカス・モウラのアディショナルタイム弾を含むハットトリックの大活躍でアヤックス(オランダ)相手に劇的勝利を果たしたトットナムという、奇跡を起こしたチーム同士の決勝戦。非常に楽しみな対戦カードになった。
筆者はブラジル人選手の活躍に注目していた。
リバプールは、GKアリソン、ボランチにファビーニョ、センターFWにフィルミーノの、中央ラインに3人のブラジル人選手が先発に名を連ねた。
しかしながら、トットナムには、先発にブラジル人選手の名前はなかった。2トップは怪我から復帰したロシアW杯得点王のケイン(イングランド)とソン・フンミン(韓国)。前試合の救世主であるルーカス・モウラはベンチスタートだった
ルーカス・モウラのプレーに期待しておりそのためトットナムに肩入れして観戦しようと思っていたので、個人的に非常に残念に思った。
そんな興ざめた気分で試合を見始めたのだが、試合開始直後、この試合最大の見せ場がやってきてしまった。
開始25秒、PA内でトットナムのボランチ、シソッコ(フランス)の腕にボールが当たってしまったのだ。
微妙だと思ったが、主審はVARも使わず迷うことなくPKの判定を下した。
ルーカス・モウラを使わないトットナムに対しネガティブな意識を持っていたので、リバプールを肩入れしながら試合を見ようかと思っていた矢先のPKだった。
しかしそうはいっても、ここで決まってしまったらおもしろみに欠ける。決まらなければいいなと思っていたが、さすがにキッカーのFWサラー(エジプト)は難なく決めた。迷いのない思い切り蹴った球は、きれいにゴールマウスの中に入っていった。
リバプールは、昨シーズンも決勝に駒を進めている。残念ながら、レアル・マドリッド(スペイン)相手に1-3で敗れている。
昨シーズン、リバプールで大活躍し最も注目されていたサラーは、前半途中でやむなく負傷交代している。その怪我は、その後に行われたロシアW杯にまで影響を与えられたので、サラーの無念は相当なものだっただろう。
試合早々にゴールを決めて、その無念を早くも果たした形になった。
それも決められた相手、トットナムのGKロリスは以前のチームメイトであり、昨シーズンの決勝ではリバプールのゴールマウスを守っていたのだから、因縁めいている。
そんな形で早くに試合は動いたが、その後は一進一退だった。
ボールを保持していたのはトットナムだが、ほとんどチャンスらしいチャンスは作れていなかった。
トットナムの2トップ、ソン・フンミンは適時よい動きをしておりいくつかのチャンスを作っていたが、ケインにはまったくといっていいほどボールは入っていなかった。
前半のボール保持率は、トットナム63%、リバプール37%。シュート数は、トットナム2本に対し、リバプールが8本。シュート数からもわかるように、リバプールの方が可能性を感じさせるシーンが多かった。
前半はそのまま1-0で終え、リバプールのリードで折り返した。
後半の入りは、トットナムがよかった。
前半まったく見せ場のなかったケインもボールに触れるようになってきた。
そんな中、後半13分、リバプールの最初の選手交代は、ブラジル人ストライカーのフィルミーノだった。
監督のクロップからは、怪我明けでこれくらいのプレーが妥当と見なされたのだろう。前線でサラーとマネ(セネガル)の間で効果的な動きができており悪くないと思っていただけに、この交代は残念に思った。
あとは、いつ、ルーカス・モウラが出てくるかが気になった。
前半の終盤からアップしており、本人も出る気十分だろう。
後半17分、トットナムは、まずはミルナー(イングランド)を投入。この人も息の長い選手だ。
そして後半21分、満を持してルーカス・モウラが投入された。
筆者はこれで、完全にトットナムを応援しながら見るようになった。
ルーカス・モウラは機能的に動き、トットナムはいい攻撃を仕掛け続けていた。
この日のルーカス・モウラは、トップ下のような位置でプレーしていた。ボールにも絡み、シュートも放ち、とても可能性を感じさせてくれた。
トットナムは、後半37分には、ジョレンテ(スペイン)を投入し、攻め続けるがゴールだけが決まらない。
そんな中、終了間際の後半42分、フィルミーノに代わり入ったオリギ(ベルギー)に決められた。これで万事休すだ。
結局2-0で、リバプールがイングランド勢としては、2011‐12シーズンのチェルシー以来7年ぶり、リバプールとしては、2004‐05シーズンのミラン相手に0-3から追いつきPK戦で勝利を飾って以来14年ぶり、6度目の優勝を飾った。
ここ数年は、レアル・マドリッド、バルセロナというスペインの2チームが突出していた印象なので、このリバプールの優勝はとても新鮮に感じられる。昨シーズンまでのレアル・マドリッドの3連覇を含み、レアル・マドリッドとバルセロナの2チームが5シーズン連続で優勝していた。
ブラジル人選手の対決、そしてブラジル人選手の活躍を期待していたが、今試合ではあまり目立つ動きはなかった。
さて、ブラジルといえば、6月14日(金)からはコパアメリカが始まる。
日本も招待国として参加するので、日本での注目度も増すことだろう。
ルーカス・モウラは残念ながら代表メンバーには選出されなかったが、今試合に出場したブラジル人としては、GKアリソンとFWフィルミーノが選ばれている。
今回は、ブラジル地元開催であるし、否が応でもブラジルでは盛り上がることだろう。どんな戦いが繰り広げられるか、非常に楽しみである。
(文/コウトク)