ブラジルのマナウスで発見された新型コロナウィルス変異株、6か国で確認か

2021年 01月 28日

写真は1月19日(火)、マナウス市。ブラジルではワクチン接種がはじまっている。アマゾナス州では先住民の看護師が最初の接種を受けた(写真/Gilson Mello/Especial para o MS)

英国や南アフリカに続きブラジルのマナウスで発見された新型コロナウィルスの変異株に対し、世界中の研究グループや保健当局が懸念を抱いていると1月27日(水)、「BBCブラジル」が報じた。

P.1と名付けられた新たな変異株は、アマゾナス州への渡航後に日本に帰国した4名から1月10日に発見され、数日後、ブラジル、英国、スコットランドなどの10以上の機関が関った研究で、この突然変異が起こった場所だと思われるマナウス市自体で変異の最初の症例が検出されたという。

1月26日(火)にはブラジルのアドウフォ・ルッツ研究所のラボがサンパウロ州での変異株の最初の3例を確認した

「BBCブラジル」によると、日本とブラジルに加えて、イタリア、韓国、ドイツ、米国、英国、デンマークの自治領であるフェロー諸島の6か国・地域で、P.1が確認されており、すべての症例がブラジルから運ばれたものだという。

このような状況の中、ブラジル国内でのパンデミックの悪化に加え変異株が発見されたことを受け、複数の国で、ブラジルを出発地または目的地とするフライトを制限または禁止にしている。1月27日(水)にはポルトガルもブラジルとの航空便の停止を発表したとのこと。

現時点では各国の迅速な対応により、各国での変異株の拡散を防ぐことに成功しているとみられている。

この変異株に関する最初の警告は、1月12日(火)に英国インペリアル大学、オックスフォード大学、サンパウロ大学、ミナスジェライス州立連邦大学、その他5つの機関の専門家によって発表されたという。

この発表によると、2020年12月15日から23日にかけて、Covid-19と診断されたの31人のマナウスの住人から採取したサンプルの遺伝子分析を行ったところ、31人中13人(全体の42%)から新たなSARS-CoV-2変異株(P.1)が発見されたとのこと。

また同グループは1月25日(月)に、調査の更新情報を公開した。この調査ではよりサンプル数が多くなり、12月末から2021年1月の初旬までに採取されたサンプルの結果が発表されたという。

同発表によると12月15日から31日にかけて調査された67のサンプルのうち35がP.1によって引き起こされた感染症で、全体の52%に相当したという。1月1日から9日の間に調査されたcovid-19症例の48サンプルのうち41がP.1が原因によるもので、全体の85%に相当したという。

研究者は「より多くのデータを含む新たな調査結果は、マナウスにおけるCovid19の症例では依然として他の株も影響しているが、局地的に変異株による感染が拡大していることを示唆している」と、わずか2週間で33パーセント感染が増加していることを警告した上で、マナウスと他の場所で変異株の変化や数をより詳細に調査するためには、さらに確実なデータが必要だとしている。

またブラジルの科学者たちは最近、マナウスの変異株に加え、リオデジャネイロ州とリオグランジドスウ州でもさらなる新たな変異株が確認されているという。これらの新たな感染拡大への影響はまだわかっていないという。

(文/麻生雅人)